公開セミナー
日本の「ちえ」で途上国の森林減少を止めSDGsに貢献するには
−アフリカと南米の森林を守るギターとナッツプロテイン食品の開発−
2022.01.27お知らせ
2021年10-11月に開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で2030年までに森林減少を食い止めるべく、日本を含めた諸国の首脳が合意(森林・土地利用に関するグラスゴー・リーダーズ宣言)するなど、SDGsへの関心の高まりもあり森林保全・森林の経済的価値向上・地域住民の生活向上などが世界的に注目されています。こうした背景の中、JIFPROは、令和3年度「途上国森林ナレッジ活用促進事業」(林野庁補助事業)を実施しています。
本事業では、途上国の森林資源の利活用上の課題に、日本にある知識・知見・技術等(=ナレッジ)を活用して解決・改善を試みる実証調査をしています。今年度は、民間企業と連携してタンザニアとペルーを対象とした2事例を実施しました。早生樹種をギター材に使う試み、プロティンが豊富なサチャインチ(つる性の低木になるナッツ)の食品利用を促進する試みです。
セミナーでは、早稲田大学の井上真先生をお迎えした基調講演の後、本事業及び実証調査事例の取組や事業WEBサイト(ChiePro)をご紹介いたします。
森林保全や周辺住民の生計向上などにご興味がある、多くの皆様のご参加登録を、関係者一同でお待ち申し上げます。
日時
令和4年2月28日(月)14:00~16:00
方法
オンラインセミナー(Zoomウェビナーを利用)
申込
内容
主催者挨拶 |
---|
太田誠一(国際緑化推進センター理事長) |
林野庁挨拶 |
山崎敬嗣 (林野庁 計画課 海外林業協力室長) |
基調講演 |
ローカルな取り組みのグローバルな価値付けと留意 |
井上真 (早稲田大学教授/東京大学名誉教授) |
事業概要・ChieProのご紹介 |
国際緑化推進センター |
事例報告と専門家による講評 |
タンザニアの熱帯早生樹をギター材に利用する試み |
報告:仲井一志 (ヤマハ株式会社) 講評:杉山淳司 (京都大学大学院教授) |
ペルーのサチャインチ(ナッツ)副産物の流通を促進する試み |
報告:門司崇宏 (株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバル) 講評:竹山恵美子 (昭和女子大学教授) |
質疑応答 |
基調講演要旨
COP26で採択された「森林と土地利用に関するグラスゴー宣言」(2021.11)の実現には、ローカルな現場で適切な「NbS(自然を基盤とした解決策)」を実行することが重要であり、それによってSDGsの達成に寄与することができる。このような観点から2つの事例報告にコメントする。
そのうえで、関連する研究成果から2つの一般的な留意点を指摘する。第1に、地元の人びとが主体となって取り組む内発的発展において「在来・地域知」は重要な役割を果たすことである。しかし「在来・地域知」は多様であり、持続可能な自然資源利用へと直結するものではない。そこで演者自身がフィールドワークから導き出した「持続的利用の三類型」を活用し、政策立案時点での類型を特定したうえで合理的な選択肢を検討することが必要である。第2に、商品開発や文化の利用に関する利益還元についての最新議論である。在来・地域知は「文化コモンズ」の一種であり「拡散/開放化」を基本とする。そのため、知的財産法等によって特定の個人・団体による「所有/囲い込み」が強すぎると発展を阻まれてしまう。しかし、自由化により商品化した事業者が利益を独占すると問題も生じる。在来・地域知の取り扱いと利益還元は、所有(企業活動の活性化)と拡散(開放化)の微妙なバランスの上に成り立っているのである。
実施体制
- 主催:公益財団法人 国際緑化推進センター
- 後援:独立行政法人国際協力機構(JICA)
- 協力:森から世界を変えるプラットフォーム
お問い合わせ
担当:倉本
TEL 03-5689-3450 / FAX 03-5689-3360
MAIL junki@jifpro.or.jp