日本国温室効果ガス・インベントリ報告での地中利用木材(杭丸太)の炭素固定量の新規算定組み入れについて
概要
軟弱地盤対策としての地中利用木材(杭丸太)は、地中で長期間腐朽しないため、温室効果ガスの有効な固定対策と考えられます。そこで、国際緑化推進センター(JIFPRO)では、林野庁補助事業を活用し、森林総合研究所、日本木材地中活用推進協会をはじめ関係団体や企業のご協力をいただいて、日本政府の温室効果ガスインベントリ報告のための算定方法を開発してきました。
このたび、開発した算定方法が、環境省の温室効果ガス排出量算定方法検討会に提案・承認され、UNFCCC事務局に提出された2026年日本国温室効果ガスインベントリ報告書で伐採木材製品(HWP)の一部として算定・報告されました。
今回の算定組み入れが、2030年温室効果ガス削減目標や2050年カーボンニュートラルの達成に貢献に繋がることが期待されます。
地中利用木材の質量減少半減期
地中利用木材の炭素固定量の算定のため、過去に施工された杭丸太を掘り出し、木材の容積密度などから炭素貯蔵効果を科学的に分析するため、これまでに、打設後の経過年数が8年から100年にわたる7つの事例を調査してきました(写真1、写真2)。

写真1 85年前に打設された橋脚基礎丸太の引き抜き(福井県)。腐朽はみられない。

写真2 84年以上前に打設された2階建てコンクリート構造物基礎の丸太(大田区)。長い期間地下水位低下で地下水位以浅にあったと考えられているが,ほとんど腐朽はみられない。推定された半減期は最小値で225年。
その結果、質量減少半減期(腐朽などによる分解で、当初の質量が半分になるまでの期間)に関し次のことが分かり、算定方法に反映させています。
- 地下水以深の条件下では、質量減少半減期が2,100年~∞であること
- 地下水位以浅でも、杭頭が地下に埋まった状態では、質量減少半減期は225年か~1,392年の長期にわたること
地中利用木材の炭素固定量
当面の算定対象として、施工基準等が明確な建築用及び土木用の4工法について、利用量を把握し、炭素固定量を算定したところ、下図のとおりとなりました。直近の使用実績(2024年)に基づく地中利用木材の炭素固定量は約4千炭素トンであり、これはHWP全体の炭素固定量の約1%に当たります。

杭丸太の炭素固定量の推移
今後、一般社団法人日本木材地中活用推進協会と協力して、地中利用木材の利用拡大を通じた森林資源の循環利用や地球温暖化対策に取り組んでいきたいと考えています。




