ナレッジ名称:成型炭

ナレッジ概要

昔の日本のように、現在でも途上国の中では炊飯や暖房に薪や木炭が使われている。また、環境に優しい燃料として木材や炭の価値が再評価されている。炭の製造時や運搬時に発生する砕片状の木炭(粉炭)を適当な形状に成型したり、木材を粉砕してから一定の形に成型したものを成型炭という。運搬性や取り扱いに優れた固形燃料として各種形状の成型炭が作られた。古くは江戸時代に、粉炭を練って固めた炭団(たどん)がある。明治になり石炭を材料とした豆炭、練炭に発展し、練炭コンロや豆炭あんか等の補助器具とセットでアジアに普及した。戦後、木材を乾燥・粉砕したオガライトが発明され、1970代まで多くの需要があった。オガライトを炭化したオガ炭も製造された。現在、成型炭の家庭用需要はほとんどなくなったが、バーベキューなどのレジャー用としての需要は多い。最近は、小粒の木質ペレットが製造され、ボイラーやストーブなどに利用される。さらに、ペレットを半炭化処理(トレファクション)した高カロリーのペレットも開発された。当初、粉炭の有効利用から始まり、形状の規格化、輸送性や取り扱い等の観点から進化したナレッジである。

背景(歴史・発展)

製炭時や運搬時に発生する砕片状の木炭(粉炭)を練って固めたものが炭団(たどん)である。江戸時代、塩原太助が粉炭に紅藻を粘着剤として混ぜ、炭団を作り成功を収めた。その話が本や歌舞伎となり、世間に知られるようになった。

明治後期になると石炭を材料とした成型石炭が欧州から輸入された。国内でも類似品が製造され、主に艦船の燃料に使われた。1920年、川澄政氏が石炭による豆炭を開発した。豆炭は高火力で燃焼時間の長いため木炭の炭団から置き換わり、中国や韓国でも製造されるようになった。石炭は硫黄酸化物のガスが発生するため、無煙炭が使われるようになった。第二次大戦後、練炭をセットする練炭コンロが発明され、1960年代まで炊飯用としての練炭需要は最盛期を迎えた(図1)。現在、日本国内の練炭、豆炭需要は小さいが、主にレジャー用として販売され、バーベキューの盛んな米国では広く利用されている。日本から技術移転された中国やベトナムでは今でも家庭用燃料としての需要がある。木炭による炭団はほとんどみられなくなったが、現在も島根県出雲市の有限会社丸ヨ商店が国内炭を使った「島根たどん」を製造販売している。掘りごたつや火鉢の燃料として根強い人気があるという。

図1 練炭(着火剤付き)。ただし、材料は木炭ではなく無煙炭である。
真ん中の部分の着火性が改善されている。 wikipediaより

木質材料を乾燥・粉砕して固めた成型木粉はオガライトである(図2)。1950年、北本軍作氏が発明し、林野庁長官賞が授与されている。オガライトは風呂の燃料などとして1970年代前半頃まで多くの需要があり、昭和50(1975)年の製造量は59万トンであった。オガライトは吸湿すると壊れやすい欠点があるため、オガライトを炭化したオガ炭も製造されている。ただし、現在、家庭用需要がほとんどなくなり、豆炭と同様、バーベキューやキャンプなどのレジャー用が主な用途である。

図2 オガライトは六角または四角の形状で中が中空。中空構造は成型時のガス抜きのためという。

最近、需要拡大が期待されているのは、(木質粒状燃料)木質ペレットである。木質ペレットは木材を細粉し、短棒状に圧縮成型したもので、運搬性や取り扱いに優れている。バイオマスエネルギー関連としてペレットストーブ導入に対して行政からの補助金もあり、一時需要が伸びた。

具体的技術(製法、作業方法、実施方法等の具体的なナレッジの方法)

成型炭は粉炭や木炭をつなぐ粘着剤には海藻、デンプンなどが利用された。火持ちを良くするために粘土を添加することがある。練炭は通風孔のある固形燃料を、豆炭は卵形またはこれに類似した形状に形成した固形燃料をさす。練炭・豆炭用として無煙炭がベトナムおよび中国から輸入されている。日本練炭工業会によりサイズや重量、発熱量などによる規格が定められている。

木質のオガライトは製材工場などからでるオガ粉を棒状に成型する。成型方法は木粉を加熱圧縮(150℃、1~1.5ton/cm2)するだけで、粘着剤や粘土などを添加せずに、成型できる。ただし、水には弱く、濡れると形が崩れる。オガライトを炭化炉で炭化するとオガ炭(オガタン)になり、水分にも強い。オガタンには炉内で消火して製造したオガ炭(黒)と炉外で消火したオガ炭(白)がある。全国燃料協会の指標によると、オガ炭は固定炭素70%以上、発熱量7000kcal以上、灰分3.5%以下、水分10%以下という品質基準がある。

最近、木質粒状燃料(木質ペレット)の需要が伸びてきた。これは、木材を乾燥して細粉し、圧力をかけて直径6~8mm、長さ5~40mmの円筒形に圧縮形成したものである(図3)。オガライトと同じ原理であるが、ペレットは欧米で発達したので、ペレット製造機は欧米の機械が多い。ペレットは輸送や取り扱いがしやすく、暖房やボイラー、発電などにも使われる。木質ペレットを300℃程度で半炭化(トレファクション)すると粉砕しにくく耐水性が向上し、熱量も高まる。ハイパー木質ペレットとも呼ばれる(図4)。

図3 スギの木質ペレット。小粒状のためパイプで送り込むことも可能。
図4 木質ペレットを半炭化したハイパー木質ペレット。
300℃程度でトレファクション(焙煎)処理を行う。耐水性が向上し、カロリーは3割ほど高くなる。

ナレッジ活用事例

練炭は練炭コンロ(七輪)にはまる形状とセットでヒット商品になった。用途に合わせて形状を変えられる特性とそれを収納する製品のセットが当時のニーズに合致したと考えられる。オガ炭は日本の技術導入により、中国、マレーシア、インドネシアでも製造され日本で輸入販売されている。材料や形状(穴の有無)により燃焼特性が異なるため、特性に合わせた用途が提案されている。オガ炭(白)は備長炭の代わりとして、ウナギのかば焼き製造の業務用としての需要がある。米国ではバーベキュー用として短めのオガ炭(charcoal briquettes)が広く出回っている。

日本における位置づけ・特徴

炭団は江戸時代に日本で生まれたナレッジである。豆炭・練炭も日本のナレッジであるが、欧米から輸入された成型石炭Coal briquetteを参照したものといわれている。豆炭・練炭はコンロやあんか等の燃焼補助器具とセットで普及し、日常の暖房や調理で広く使われた。石油燃料に置き換わった後も、豆炭こたつやあんか、レジャー用、道路工事のコンクリート養生・乾燥用としての需要があり、平成29(2017)年現在、国内の製造実績は14千トンである(日本練炭工業会)。オガライトおよびオガタンは日本で開発された商品であり、最盛期には全国に数百の工場があったが、現在(平成29年)はオガライト88トン、オガタンは6600トン程度の製造量である。これらもバーベキューなどのレジャー用として需要が多い。木質粒状燃料(木質ペレット)は建築廃材のリサイクル法や再生エネルギー固定価格買い取り制度の政策的な支援もあり、木質バイオマス発電燃料としての需要が高まった。木質ペレットの国内生産は、平成19年3千トンであったものが、平成26年12.6万トンに伸びたが、最近は横ばいになり令和元(2019)年は生産量13.1万トン、工場数は154である。

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引用・参考文献

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