カカオ生産地のマッピングと QR タグを利用したトレーサビリティシステム

対象国
ガーナ
実施年
令和5年度
課題・原状

ガーナの森林面積は1990年から2010年にかけて約20%減少し、その後も横ばいで大きな回復はできていない。衛星画像とAIによる分析ではカカオ生産はガーナの保護区における森林減少の原因の13%以上を占めているとする報告もあるが、ガーナのカカオ生産は小規模農家によるものが多く生産性の低さが森林伐採のドライバーとなっていることが考えられる。

欧州連合(EU)が森林の破壊と劣化を防ぐために2023年に発行した「EU森林破壊防止規則」(EUDR)により、森林減少及び劣化を伴わないカカオ・カカオ製品しかEU市場と取引できなくなるが、このような潮流は、今後日本を含め世界的に拡大していくことも予想される。

使用した日本のナレッジ

QRコード :サプライチェーンのトレーサビリティを向上

QRコードは、Quick Responseの略で、株式会社デンソーウェーブが開発した技術である。日常生活の中でさまざまな場面で試用され、利用者にもなじみのある方法になってきた。これを利用すると、生産者や生産地情報、加工過程、成分など商品の流通製造過程を消費者に届けることができるので、トレーサビリティの現場でも導入が進んでいる。

ナレッジ活用型

生産者情報や生産地のマッピング情報をデータ化し対象カカオがすべて保護区外で生産されていることを確認。買付時に麻袋にQRタグを付与してメーカーや消費者が生産者・生産地情報にアクセスできるトレーサビリティを確立する。

生産組合に対してカカオ豆の品質改善のための活動を指導したり苗木を提供することで高品質かつ森林に優しいカカオ・チョコレートとして高付加価値として販売し、生産者にその分のプレミアムを支払うことで還元しカカオの生産性と生計向上につながる。

森林・住民への貢献・効果等

保護区内で生産されたカカオを取引の対象としないため、保護区内での違法伐採に対する管理能力が向上する。

苗木の配布やカカオ豆処理工程の改善による生産性向上や高付加価値化に加え、プレミアム支払いによって生計向上が見込まれることで森林利用圧の低減が期待される。

関連リンク
  1. 公開セミナー発表資料
  2. Forest Friendly Cacao(森に優しいカカオ)のウェブサイト : https://www.forestfriendlycacao.com/
引用・参考文献
  1. https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/06/e269eee14e52e454.html
  2. https://ieei.or.jp/2019/06/special201906001/
  3. https://ecampusontario.pressbooks.pub/globalvaluechain/chapter/components-of-global-value-chain/
  4. https://www.larskarlsson.com/?p=2101
  5. https://www.oecd.org/industry/global-value-chains/
  6. https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2022/361924c8d6c4c953.html
調査・報告

株式会社立花商店

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