- 対象国
- セネガル
- 実施年
- 令和6年度
- 課題・現状
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セネガル共和国は、西アフリカのサハラ砂漠の南縁、サヘル地域に位置する後発開発途上国(LDC)のひとつである。1965年から2000年にかけての航空写真解析からは、35年間で樹冠閉鎖率80%以上のタイプの森林が50%以上減少した。森林減少の要因は、違法伐採の横行や、人口移入による農地拡大、薪炭利用などが挙げられている。グレートグリーンウォール(GGW)イニシアチブ(アフリカ大陸でサハラ砂漠の拡大を防止するために、大陸の東西方向に樹林帯を整備するプロジェクト)があり、長期的な植林計画があるが、あまり進展していない。一方、セネガルの住民は生活の多くを森林資源に依存しており、薪や木材など生産目的の森林面積は年々増加傾向にある。ただし、気候変動の影響が大きいサヘル地域では植物の成長に必要な土壌水分を如何に確保するかが大きな課題である。
使用した日本のナレッジ
- ナレッジ活用型
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日本のナレッジとして、苗木の根群周辺の水分を効率的に保持し苗木の成長や活着効率を高めると期待されている生分解性高吸水性ポリマー(EFポリマー)を苗木植栽時に施用することで苗木の活着率を高め、より計画的に広い面積での植林を可能にすることを目指す。
- 森林・住民への貢献・効果等
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グレートグリーンウォール(GGW)イニシアチブの下、セネガルではFAOはRIPOSTESプロジェクトを実施している。今回の実証試験の結果は、12月の現地調査期間中に開催された現地セミナーで関係者に共有された。関係者からは技術に高い関心が寄せられた。同セミナーでは、EFポリマー製品価格が高いとの意見があがった一方で、現状の植林成功率の低さに鑑み、植林活動の成果を高めることが可能となるのであれば、そこに資金を投入するべきとの意見も出された。製品の特徴を最大化できるような条件(樹種、土壌、苗畑での応用)をさらに調査し、効果的な適用範囲を特定することで、同国における植林事業の成功率向上への貢献が期待できる。
また、森林セクターの雇用を生み出すうえで、より効率的・効果的な植林活動が必須であることから、EFポリマーによって植林成功率を高めることで、生計の向上にも大きく貢献できる。
- 今後の課題・展望
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令和6年度の実証調査では、EFポリマーの施用によって無処理の土壌と比べて保水能力が1か月伸びるという結果が示され、苗木の成長促進効果についてはEFポリマーの施用が有効な樹種と有効でない樹種(耐乾性が高いなどの要因と考えられる)が存在する可能性が示された。季節変動の影響の検証やEFP使用樹木の継続検証など長期的な試験検証を行うことが求められる。また、効果を最大化する樹種・使用方法・自然環境条件・社会条件の特定、他セクターとの連携を進めていくことが重要である。
- 調査・報告
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EF Polymer株式会社