コンニャク

原料となる植物

学名
Amorphophallus konjak, Amorphophallus rivieri, A. krausei, A. paeoniifolius(Elephant foot yam), A. muelleri(ムカゴコンニャク)
一般名
コンニャク、Elephant foot yam、devil’s tongue、ムカゴコンニャク
樹種概要

コンニャク(蒟蒻)のコンニャク属Amorphophallus は、アジア、アフリカ、オーストラリアの熱帯、亜熱帯に約200種ある。しかし、食用として利用できるのはごく一部のである。日本のコンニャク芋はA. konjak (A. rivieri )である。中国南部雲南省が原産地とされる。日本や韓国に導入されたといわれるが、その時期については諸説ある。

産品の特徴

用途
コンニャク、白滝
産地
日本・韓国・中国南部・東南アジア
産品概要

健康食材として

生のコンニャクには劇薬にも指定されるシュウ酸カルシウムが入っているため、えぐみが強く、そのままでは食べることはできない。コンニャクを加熱してえぐみを除き、灰汁を加え成型して食用とする。コンニャクやその近縁種は広く分布するが、食品としては日本や韓国、中国南部の一部地域に限られている。

近年、グルテンフリー、ダイエット、健康食材として世界的に注目されつつあり、食品として欧米に輸出されている。コンニャクの主成分はグルコマンナンという多糖類(コンニャクマンナンとも呼ばれ、グルコースとマンノースが結合した糖)であり、これを人間は消化できないことと、胃の中で膨れて満腹感が得られることとから、ダイエット食として販売されている。また血糖値抑制効果なども報告されている(奥ほか 1983)。

輸出入動向と日本の需要

コンニャクは和食に欠かせない食材である。そのため、かつては国内生産に限られていたが、生産者の高齢化等で国内のコンニャク生産量は減少しているため、今ではコンニャク製品や材料であるコンニャク粉が輸入されている。農林水産省の統計によると、昭和40年代に約18,000haの栽培面積であったが、令和元年(2019年)には3660haまで減少した。コンニャクの輸入には高い関税がかかっているが、国内供給量の10~20%程度が中国や東南アジアからの輸入品である。平成20年以降の統計によると、輸入量は原料価格や関税率の変化の影響を受け大きく変動し、コンニャク芋(精粉)の輸入は平成24年に739トンまで上昇し、その後減少し、令和元年には198トンであった。そのうち84%がミャンマーである。製品としてのコンニャクの輸入は、15,000~30,000トンの規模であり、そのうち87%が中国産である(令和元年)。ただし、国内のコンニャク消費全体自体が最近減少傾向にある(農林水産省 2020)。

欧米では健康食品、ダイエット食品として、「白滝」がShirataki de Konjac、Miracle Noodleなどといわれたり、スパゲッティやヌードルとして販売されている。

マーケットの展望

東南アジア諸国ではこれまで一部の少数民族を除きコンニャクを食べる文化がなく、山間の野生種を収穫するのみで栽培されることはほとんどなかった。しかし、近年、日本や中国での需要の高まりから注目されるようになり、ミャンマーでは野生種の乱獲が進んだと言われる。ミャンマーのシャン州では野生のコンニャク種のうち、グルコマンナンを含むA. muelleriおよびA. krauseiの2種の野生種が採取され、主に中国人の自家消費の他、中国やタイへ輸出されている(手塚ら2002:長嶋・藤川、2020)。野生種の資源減少を懸念し、ミャンマーで活動するマングローブ植林行動計画(ACTMANG)が、日本のナレッジをもとにコンニャク栽培を指導し、種芋の保存(もみ殻中での保存と温度管理)・再植、密度管理の方法を普及させた。それもあり、令和元年にはミャンマーは精粉ベースで日本への最大輸出国に成長した。

参考情報
  1. 財団法人日本コンニャク協会 http://www.konnyaku.or.jp/index.html
  2. Welcome to “Konjac World”  http://www.konnyaku.or.jp/En/index.html
  3. 中国食文化の研究-コンニャクの歴史- 小松 哲也 (茨城大学真柳真研究室卒論)、http://square.umin.ac.jp/mayanagi/students/01/01komatsu.html
  4. メタボ大国アメリカで大絶賛されている日本の“ある食品” DIAMOND online https://diamond.jp/articles/-/83072
  5. ぜいたく庵本店:こんにゃくの品種 https://www.zeitaku.jp/connyaku/about/04.htm
  6. 奥恒行ら(1983) グルコマンナン、プルランならびにセルロースの血糖上昇抑制効果の比較。https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs1983/36/4/36_4_301/_article/-char/ja/
  7. 農林水産省(2020) こんにゃくをめぐる事情 農林水産省 令和2年6月https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/attach/pdf/konnyaku-15.pdf
  8. 石塚哉史(2012)関税制度移行下におけるこんにゃく貿易の変容に関する一考察─ミャンマー・中国産こんにゃくの対日輸出を中心に─。弘前大学農学生命科学部学術報告14:1-11
  9. 長嶋麻美・藤川和美(2020)高知県立牧の植物園研究報告 JICA 草の根技術協力事業 「ミャンマーシャン州における森・里・川・湖をつなぐ豊かな地域づくり支援事業」 第1回ベースライン調査報告 https://www.makino.or.jp/img_data/PAGE_science-report_13.pdf?1
  10. 手塚隆久ら(2002)ミャンマー連邦北シャン州における雑穀類遺伝資源の探査収集。日本作物学会九州支部会報 68:69-72.
  11. Santosaら(2003)インドネシア西ジャワ州クニンガン県で楮コンニャクが栽培される理由。熱帯農業 47:83-89 清水徹朗(2005)WTO農業交渉とコンニャク産業.調査と情報2005.11