カカオ豆のビジネスモデルの概要

近年日本でも注目されつつある、高級チョコレートを販売するBean To Bar向けの高品質のカカオ豆を、フィリピンの生産組合と契約栽培し、収穫後の発酵技術も普及しながら日本へ輸入するビジネス。

現状

現在、カカオ豆の生産量のうち7割はコートジボワール、ガーナ、インドネシアで栽培されたものである。日本は年間3~5万tのカカオ豆を発酵カカオ豆の形態で輸入しているが、その8割はガーナからである。カカオ豆の国際価格は変動が大きく、最近はインドや中国の需要が高くなったことから、上昇傾向にある。日本から比較的距離が近いフィリピンは、気候的にはカカオ豆栽培に適しており、新たな輸入先候補として考えられるが、その輸出量は少なく、価格も他の東南アジアの国に比べると高いのが現状である。

課題

現状では、フィリピンでも有数のカカオ生産地であるダバオ市においても、価格や生産量の両面でガーナ産カカオ豆に優れている点はなく、いくら輸送日数が大幅に削減できたとしても、大手メーカー向けにカカオ豆を輸出することは難しいということが分かった。

また、フィリピン全般に言えることだが、集約的作業を要するカカオ栽培がまだ農家に浸透しておらず、かつ仲買人の農家からの買取り価格も安いため栽培インセンティブが働きづらく今後生産量を大幅に増加させるには課題が山積みであるのが現状である。

解決案

カカオ豆の集荷と発酵を既に実施しいている「ダバオ市内の生産組合」と「日本のカカオ豆輸入企業」が契約栽培・加工し、高級チョコレートを少量販売するBean to Bar向けのカカオ豆を輸出することから始める。Bean to Barとは、日本でも最近注目を集めている原材料のカカオ豆をメーカー自身が加工(焙煎)して高級チョコレートを製造する商業形態であり、大手のチョコレートメーカよりもカカオ豆を少量で高く買い取る傾向にある。

ビジネスとして成立するための具体的な解決策としては、以下の5つが挙げられる。

  1. 契約栽培による中間マージン削減
  2. 生産性を向上のための有機肥料と優良品種の挿し木による普及
  3. Bean to Barの嗜好にあった発酵方法徹底のための技術講習
  4. 純利益の1-2%を生産組合の基金へ還元
  5. 被陰樹の紹介

波及効果

これまではダバオ市で生産されるカカオ豆のほとんどは現地企業が仲買人を通して安く買い取っていたが、日本企業が参入し、生産組合が発酵を確実に行うことができるようになれば、組合活動が活性化されると同時に、組合員の収益は、生カカオ豆の買取り価格を1.2倍、生産性を1.5倍に向上させることで258,000円(現状)/ha×1.2×1.5=464,400円/haに上昇する可能性がある。

また、ダバオ市内で栽培されるカカオは政府によって“林地”に定義される土地であり、その大部分は耕作地やほとんど経済的価値をもたらされないBrushLandである。それらの“林地”に、被陰樹を要するカカオ栽培がアグロフォレストリーによって促進されることで“林地”の経済価値が上がり有効な土地利用が促進される。

詳細

ビジネスモデルの詳細に関しては、下記からご覧ください。