タケノコ
原料となる植物
- 学名
- Dendrocalamus spp.
- 一般名
- D. latiflorus:Taiwan giant bamboo (中国名) 麻竹
D.asper : Rough Bamboo, Giant Bamboo (中国名) 馬來甜龍竹
(インドネシア)bambu betung (マレーシア)buloh beting (タイ)phai-tong
- 樹種概要
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Dendrocalamus属は熱帯アジアに産するイネ科の大型のタケで、稈(かん)はイネの株のように固まって生え、分げつで増える。モウソウチクやマダケのように地下茎を伸ばさない。D. latiflorusの稈は直径8~20cm、高さ20~24m、節間長20~70cm、葉は長さ15-40cm、一方のD. asperは一般により大きく、稈は直径8~20cm、高さ20~30m、節間長20~45cm、葉は長さ15-30cmになる。両種ともに、節はやや隆起し、稈の肉は厚い。花はまれに咲き,1株のすべての稈でなく一部のものに咲くことが多い。稈は主として建築用、積層材、楽器、箸、工芸品等に、タケノコは食用として広く輸出される。とくにD. latiflorusのタケノコをゆでた後,乾かして乳酸発酵させたものがメンマ(麺麻、麺碼、または支那竹)である。
D. latiflorus は台湾、中国南部を原産とするが、ミャンマー、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア等で広く栽培されている。また、D. asperの原産地は不明(一説にはマレーシア北部)であるが、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、マレーシア、スリランカ等に広く栽培されている。両種ともに多雨地域で成長が最も良いが、さまざまな立地環境に適応している。D. latiflorusは重粘土やアルカリ砂質土壌、酸性土壌はタケノコの生産に適さないと言われる。
産品の特徴
- 用途
- タケノコ、乾燥タケノコ(メンマ)、竹炭、積層材、楽器、箸、工芸品など
- 産地
- 台湾・中国南部・東南アジア一帯に広く植栽
- 産品概要
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タイの王室林野局は竹の栽培・利用の研究・普及に力を入れており、聞き取り調査(2015年10月)によると、タイには約72種の竹が自生しているが、最も広く植栽されてきたのはD. asper で、古くからタケノコ生産を主目的に栽培されてきた。しかし、本種は1994年に全国的に一斉開花・枯死し、重要な輸出農産物であったタケノコの輸出が危機に陥ったが、それを機に、タイでは竹の育種技術の開発が飛躍的に進んだという。現在の重要な植栽種は、上述のD. latiflorusのほか、自生種のD. strictus、Bambusa bambosなど (用材、食用、薬用)がある。
様々な商品開発が進んでいるが、竹炭(+竹酢液)が有望視されている。Bunton Charcoal社はD. asperやD. strictusの竹炭パウダーを輸出しているが、日本向けには粒径を30~40μm以下にする必要があり、まだ技術開発が必要とのことであった。Bunton社のほかKiengmool社等が欧米向けに竹炭商品を販売している。
その他、繊維・布、土壌改良材、茶葉などを商品化している。中でもD.strictusの茶葉は古くから解熱剤など薬用に用いられており(抽出成分の研究も有り)、日本を含む海外向けの商品も開発されている。
タケノコの輸出入動向と日本の需要
2012年の竹とラタンの国際貿易統計を見ると、竹工業製品が539百万US$、竹繊維製品が476百万US$、竹・ラタン家具製品が290百万US$、タケノコが276百万US$になっており、タケノコは223百万US$(2007年)から276百万US$(2012年)に増加している。輸出を国別にみると、中国が240百万US$(2012年)でほぼ独占しており、EUの20.6百万US$、タイの12百万US$が次いでいる。一方、輸入国は日本が160.4百万US$(2012年)で59%を占め、残りをEU(55.2百万US$)とUSA(40.4百万US$)が二分している。
日本の最近10年のたけのこの輸入量は年間約180~200千トンで、全消費量の83-90%を輸入品が占めており、その大半が中国産である。水煮として缶詰やレトルトパックで流通しているタケノコの多くが中国からの輸入品となっている。日本で食用にされるタケノコの代表的なものは中国から伝えられたモウソウチク(Phyllostachys edulis)であるが、中国、EUに次いでタケノコ輸出量世界第3位のタイのD. latiflorusやD. asperは、モウソウチクと同様に水煮の缶詰やレトルトパックにされて、主に欧米へ輸出されているようである。一方、メンマは台湾の嘉義県における伝統食材で、現地では乾筍(カンスン)と呼ばれるが、台湾の経済の高度成長で台湾の農家が激減して生産ができなくなり、現在の主産地は南中国(広東省、広西省、福建省等)に移っているという。メンマは広く東南アジアで栽培されているD. latiflorus から製造されるので、台湾、中国に限らず原料を調達することが可能であろう。最近、(株)川崎フーズ(ノザキ)では、原産国タイの「穂先メンマ」の国内販売を始めている。タケノコの生産は、タイだけでなく、ベトナム、フィリピン、ミャンマー等でも有望視されている。
- 参考情報
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- http://www.guaduabamboo.com/species/dendrocalamus-latiflorus
- http://www.guaduabamboo.com/species/dendrocalamus-asper
- https://ja.wikipedia.org/wiki/タケノコ
- https://en.wikipedia.org/wiki/Bamboo_shoot
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%9E
- International Network for Bamboo and Rattan (INBAR) (2014) International Trade of Bamboo and Rattan 2012. 58pp. (http://www.inbar.int)
- 林野庁・特用林産物の生産動向(更新日:平成27年9月29)http://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/tokusan/3.html
- 株式会社 大門 http://www.menmaya.com/menma/index.html
- 株式会社 川崎フーズ http://www.cornedbeef.jp/seihin.html
- Carmelita, M. & N. Rivera (2006) Economics and market potential of bamboo for shoots and engineered products in the Philippines. Silvicultural management of bamboo in the Philippines and Australia for shoots and timber (Ed. D. J. Midmore), p94-107, Proceedings of a workshop held in Los Baños, the Philippines, 22–23 November 2006