コランカリン

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原料となる植物

学名
Arecales Arecaceae Arenga Arenga pinnata
別名:Arenga saccharifera
一般名
サトウヤシ,コランカリン(kolang-kaling)
樹種概要

コランカリンが生産される本種(以下、サトウヤシとする)はインド東部、スリランカからバングラデッシュ、ミャンマー、タイ、中国南部、海南島、マレー半島を経て、ニューギニア、グアムまで広く自生する。インドでは大々的に栽培され、インドネシアでも一部栽培され標高1400mまで分布している。フィリピンでは主に天然林内に生育し、全国で約467万本のストックがあると推定されている。他の生産国における資源量に関するデータは整備されていない。

サトウヤシは亜熱帯乾燥~湿潤林から熱帯乾燥~多雨林にかけての生物分布帯に分布し、降水量700mm~4000mm、年平均気温19~27℃、土壌pH5.0~8.0にわたる幅広い環境に耐えて生育する。好適な生育は500-800mの標高域で年降水量1200mm以上、7-10ヶ月の湿潤月、年平均気温25℃前後で得られるとされる。一般には森林中に生育するが発達した天然林に限る訳ではなく、痩せた石礫質な丘陵斜面や荒れ地でも生育可能である。天然林周辺の二次林もしくは人里に近い林地に多く分布し、人による意図的繁殖の影響を受けている可能性が指摘されている。湿潤熱帯の海抜0m~1200mの肥沃で湿潤な土壌において最も良好な生育を示し、ココナツよりも高標高で生育する。乾燥、台風、害虫、菌類による被害を受けることはほとんどない。丈夫で、特別の手入れを必要とせず、薄暗く冷涼な谷間や、山岳地の渓流斜面、森林外縁部ならびに部分的に疎開した丘陵斜面などの排水の良い土壌で容易に生育する。インドシナ―インドネシア・ヒンドゥスタン多様性センターの報告によれば、サトウヤシは、耐病性、耐乾性、耐菌性、耐アルカリ性、耐害虫性が高く、貧栄養土壌や日陰、斜面でも生育可能とされる。根系が密に発達することから斜度の大きな斜面などに植栽し、土壌流亡防止効果が期待できるとされる。

成長量は、インドネシア西ジャワのサトウヤシの例を見ると、一本の果実序から4500個のコランカリンが取れるとされる。一方フィリピンの例では一本の果実序に平均48個の果実が付き、一本の木で5000~7000個の種子を生産されるとある。

サトウヤシは、内胚乳をはじめ、樹液(糖液)、葉、幹、繊維、果実など様々な部位が利用され、多様な産品を生み出すことで、周辺の森林生態系を損傷することなく地域社会に経済的便益をもたらす極めて重要かつ有望な植物である。

産品の特徴

用途
健康ダイエット食品、スイーツ食品のトッピング、乾燥果実、シロップ煮、魚毒
産地
東南アジア
産品概要

ダイエット食品

コランカリンはサトウヤシの内胚乳の部分であり、フィリピンではカオンとも呼ばれる。コランカリンは楕円球状、半透明白色、噛みごたえがありさわやかな味をもつ。100g中に4gのタンパク、6gの炭水化物、16gの食物繊維、2gの油脂、9gのカルシウム、5gの鉄を含みカロリーは約27kcalと低カロリーである(http://www.myfitnesspal.com/food/calories/211718948)。胃腸の働きを助け、繊維を含み低カロリーなため、健康ダイエット食品になると同時にカルシウムを多く含むことから骨を強化し関節炎の軽快に効果があると言われる。

砂糖シロップや香辛料で煮たものがスイーツとして広く消費される。また、生のものや乾燥したものもある。タイのA. westerhoutii の場合一本の果実序から30~40kgの内胚乳(loog chid)が得られ、一本の木の4本の果実序から内胚乳を収穫・加工するのに要する労力は約2人・日ほどとされる。インドネシアの北スマトラの生産地で行われる胚乳(コランカリン)収穫の例では、果実序が糖の源泉と考えることから3~12本の果実序のうち年間1~2本だけをコランカリン収穫に当てる。一本の果実序から約60kgが生産されるので、サトウヤシ一本あたりでは計120kgのコランカリンが生産される。農民からの買い取り価格は2011年時点で2500ルピア/kg(約2.5米ドル/kg)で、大都市圏のマーケットで販売される。開花が不定期であるため果実の収穫期間はほぼ一年中にわたる。

また、果実の外側を覆う多肉質の液は強い腐食性があり皮膚に付着すると痛みや炎症を引き起こすことから魚毒として利用される事例もある。

輸出入動向と日本の需要

サトウヤシからの内胚乳や糖液の収穫・加工は労働集約的であるため、アブラヤシ、コーヒー、ゴムなどに比べて魅力がなくなりつつあり、タイでの生産は減少傾向にあり、ラオスからの輸入が増えている。kg当たり0.33-0.54米ドルで年間600トンの胚乳が輸入されている。

タイ国のある地域では仲買人を通さずにA. westerhoutii に由来するloog chidを販売することで一世帯年平均3600米ドルの収入をえており、また他の地域ではコーヒーに次ぐ重要産品で本産品だけで83世帯で年間42500~45000米ドルの収入を得ている。タイでは土地所有者との間で果実収穫に関する合意が取り交わされ、賃貸料はヤシの果実序の本数に従って決められ、2002年時点では果実序1本当たり12.5米ドルであった。A. pinnataはタイでは南部の一部のみに分布しそのほぼ全てが半栽培もしくは栽培で、雄ずい果実序から糖液の採取に主に利用される。タイでは同類のヤシの中でA. westerhoutiiが最も経済的に重要で、若い胚乳の収穫・販売により一世帯当たり550-3600米ドルの収入を得るのに対し、A. pinnataからの糖液採取による収入は1250-1600米ドルである。また、ラオスでも同内胚乳は重要な非木質林産物で毎年1000トン以上がタイへ輸出されている。一方インドネシアの北スマトラの例ではA. pinnata由来のコランカリンの農民からの買い取り価格は25000ルピア(約2.5米ドル)/kgほどで、また糖液が主要産物で胚乳は副産物に過ぎないことからコランカリンによる年収は450米ドル程と報告されている。

このようにフィリピン、インドネシア、ラオスなど主要な生産国では、地域住民の重要な収入源となっており、同種の果実採取に関する特段の法的規制はないとされている。また、我が国における取扱量は極めてゼロに近いが、一部業者による瓶詰コランカリン/カオンの輸入が少量行われていることから、加工品輸入品に関する特別の規制などはないことが想定される。

マーケットの展望

東南アジア諸国では様々なスイーツ材料、健康食品の形として広範に消費されており、特殊な匂いや味も持たないため、我が国でも、日本人の嗜好に合わせた商品開発を行えば、相当規模のマーケットが形成される可能性は高い。また、低カロリーで食物繊維、ミネラルを含むことから、健康ダイエット食品としての付加価値もあり、低カロリーダイエットスイーツ等の商品開発により相当規模のマーケットが形成できる可能性がある。またインドネシア、タイなどではすでに缶詰やパック詰めの形で大規模な販売を行っている企業があることから、我が国での嗜好に合わせた商品開発が行われれば、現地からの材料・商品供給は比較的容易と考えられる。

生産現場での課題としては、成熟し開花結実するまで長期間(通常10~16年とされるが5~6年とする報告もある)を要することと、コランカリンの生産が労働集約的であり高賃金地域では高コストとなることが挙げられる。

参考情報
  • Duke J.A. 1989: Arenga pinnata (Wurum) Merr. (Arecaceae) In Handbook of Nuts, pp 30-33, CRC Press LLC
  • https://www.giz.de/en/downloads/giz2014-en-survey-natural-resources.pdf
  • http://www.pacsoa.org.au/w/index.php?title=Arenga_pinnata
  • http://www.worldagroforestry.org/treedb2/speciesprofile.php?Spid=119
  • Pongsattayapipat, R. and A.S. Barfod 2009: Economic botany of Sugar palm (Aregna pinnata Merr. and A. weterhoutii Griff., Arecaceae) in Thailand, Thai Journal of Botany, 1(2), 103-117
  • Mokoginta, M.M. 2015: Prospective use of palm (Arenga pinnata Merr.) as raw material of sugar palm in the village of Moyag, Bolaang, Mongondow, Indonesia, International J. of Agriculture and Forestry, 5(4), 240-244
  • Martini, E. and J.M. Roshetko 2011: Aren (Arenga pinnata (Wurmb)Merr.) traditional management system in Batang Toru, North Sumatra and Tomhon, North Sulawesi, 1st Indonesia, International Conference of Indonesian Forestry Researchers, 552-561, INFOR secretariat.
  • Mogea, J., B. Seibert and W. Smits 1991:Multipurpose palms: the sugar palm (Arenga pinnata (Wurmb) Merr.), Agroforestry Systems, 13, 111-129

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