メラルーカオイル

メラルーカ種子

メラルーカ植林木

湿地に生育するメラルーカ

メラルーカ製油工場

原料となる植物

学名
Melaleuca cajuputi(フトモモ科)
一般名
Cajeput、swamp tea-tree、Punk tree、Paper Bark Tree、kayu putih、galam、smach chanlos、samet-khao、cây tràm、白千层、メラルーカ
樹種概要

Melaleuca cajuputiは、中木~高木で、樹高は25~40mに成長する。樹皮は、茶色がかった、または白っぽい灰色の紙状であり、葉は長さ40〜140mm、幅7.5〜60mmで交互に配置され、両端が先細りになっている。花は白、クリーム色または緑黄色。果実は枝に沿って密集した木質のカップ状のカプセルで、それぞれの果実は長さ2〜2.8mmである。数世紀の間アジアで栽培されてきたので、M. cajuputiの天然分布範囲は不明。おおよその原産地は、熱帯北部オーストラリア(クイーンズランド、ノーザンテリトリー、西オーストラリア)から南西パプアニューギニア、インドネシア、マレーシア、そしてタイとベトナムまでの18度から12度の緯度範囲と考えられる。M. cajuputiは、湿地及び水はけの良い土壌の両方に適応した、早成で長命の熱帯性樹木である。それは、汽水土や酸性硫酸塩土壌の露出した場所を再植林するのに成功することができる数少ない木の一つである。長期間の浸水を受けやすい土壌では、空中の不定根を発達させる。山火事の後、種又は萌芽によって根から再生する。若木は、年間樹高2.3 m、直径7 cm成長し、樹齢わずか13〜14ヶ月のときに最初の花を咲かせる。メラルーカの受粉は主に昆虫によるが、鳥や小型哺乳類にもよる。ジャワでは一年中花が咲く。オーストラリアでは3〜6月と8〜12月に開花する。種子は非常に小さく、前処理なしでも水分と暖かい条件があれば容易に発芽する。

産品の特徴

用途
木材、薬
産地
熱帯北部オーストラリアから南西パプアニューギニア、インドネシア、マレーシア、そしてカンボジア、タイとベトナムまでの18度から12度の緯度範囲
産品概要

木材

東南アジアでは、M. cajuputiの材は燃料及び木炭用に使用される。また、反りがちであるが、家の構造材、塀の支柱、枠組み及び床板を支える材としても使用される。さらに、柔らかい樹皮は、インドネシアではボートのコーキング材、ボートの屋根材やシーリング材として使用されてきた。M. cajuputiは、黄色から徐々にピンクがかった灰色の心材ができる。それはのこぎりを鈍くする高いシリカを含有している(0.2-0.95%)。M. cajuputi材は土中及び水中で耐久性がある。材は硬くて重く、生重は約1,070kg/m3、風乾密度は約750kg/m3である。反りを最小限に抑えるには、慎重な乾燥が必要である。

機能性オイル

オーストラリア先住民は、M. cajuputiの葉を使って痛みを軽減し、つぶした葉からの蒸気を吸い込んで呼吸器感染症を治療していた。タイでは、葉はさまざまな医学的問題の治療法としてハーブティーを作るために使用される。また、アジアの多くの地域では、葉から抽出したメラルーカオイルが塗布薬及び吸入剤として使われている。

M. cajuputiの葉は抗菌性、抗炎症性、鎮痛作用を持ち、伝統的に痛み、やけど、風邪、インフルエンザ、消化不良などに対して使われてきた。メラルーカオイルは水蒸気蒸留によって葉から製造される。このオイルは、特に東南アジアでは一般的な家庭用薬であり、胃のけいれん、疝痛並びに喘息、咳や風邪の治療に使用される。また、鎮静剤であり弛緩剤であり、神経痛やリウマチの緩和のために、しばしば軟膏や塗布薬の形で、並びに、歯痛や耳痛の緩和のためにも使われる。さらに、虫よけの性質があると言われており、特に回虫、および泌尿生殖器系の感染症を治療するのに有用であるとされる。それは、調理用の香味料として、そして石鹸、化粧品、洗剤および香水中の芳香剤およびフレッシュニング剤として使用されている。

メラルーカオイルは、淡黄色の液体で、高濃度では皮膚への刺激が起こる可能性があるが、非毒性および非感作性として分類されている。オイルの主要な抗菌成分は1.8-シネオールであり、3~60%含んでいる。その臭いは、シネオールの豊富なユーカリ油に似ているが、より穏やかでフルーティーな、樟脳のような薬用アロマである。市販のメラルーカオイルの大部分は、シネオールに富んだM. cajuputi subsp. cajuputiに由来する。他の亜種のオイルは一般的にシネオール含量が低い。

需給/輸出入動向

メラルーカオイルの2つの主要な生産拠点は、インドネシアとベトナムである。インドネシアでは、市販のオイルはモルッカ諸島の天然林及びジャワ島のプランテーションの両方から生産されている。天然林(約20万ha)からの生産量の推定値は、年間約90tのオイルがブルー、セラム、アンボン、そして隣接する島々で生産されていることが示唆。ジャワ島の推定9,000haの政府所有農園からの生産は1993年には約280トンに達した。ベトナム南部での生産は約12万haのメラルーカ天然林から年間100tのオーダーで生産されている推定されている。マレーシアからも少量のオイルが輸出されている。オイルはしばしば原油として、主にヨーロッパに輸出されている。

参考情報
  • Holliday I., 2004. Melaleucas: a field and garden guide (2nd ed.). Frenchs Forest, N.S.W.: Reed New Holland Publishers. pp. 38–39.
  • Brophy J.J., Craven L.A. and Doran J.C., 2013. Melaleucas: their botany, essential oils and uses. Canberra: Australian Centre for International Agricultural Research. pp. 104–105.
  • Doran J.C., 1999. Southwell I. and Lowe R. (Editors) Medicinal and aromatic plants – Industrial profiles -. Tea tree: the genus melaleuca. Harwood Academic. Amsterdam. pp. 221–224.
  • Doran J.C., 2016, Melaleuca cajuputi Powell. Plant Resources of South-East Asia(PROSEA).
  • Melaleuca cajuputi. Wikipedia. Retrieved 18 March 2019.
  • Nuyim T. Potentiality of Melaleuca cajuputi Powell cultivation to develop for economic plantation purpose. Forest management and forest products research office. Retrieved 18 March 2019.