アフリカン・ブラックウッド材

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原料となる植物

学名
Dalbergia melanoxylon Guill. & Perr.
一般名
アフリカン・ブラックウッド(African ebony, African grenadillo, African ironwood, Senegal ebony, Zebra wood)
樹種概要

タンザニアやモザンビークを中心に、サブサハラ・アフリカに分布するマメ科樹木である。乳白色の辺材と黒褐色の心材に分かれる。心材は硬質であり湿度による変化が少なく、木管楽器や家具、彫刻等に利用されている。

高い需要があり貴重材として抜き伐りされてきたが、成長が遅く収穫サイズに達するまで70年~100年を要するため、資源量の減少が著しい。IUCNレッドリストでは「準絶滅危惧」に分類され、資源の保全や持続的利用が必要となっている。

産品の特徴

用途
工芸品、楽器材、家具
産地
タンザニア、モザンビークなど南サハラ地域
産品概要

高価値財

心材と辺材からなる。心材は、極暗褐色~紫黒色を呈し、彫刻、チェス駒、ナイフの柄などの工芸品、家具などの用途に加えて、高密度で肌理が細かいために安定して澄んだ美しい音色を奏でることから、クラリネットやオーボエなど木管楽器に使用される。

極めて重い高比重材であり、辺材の比重は約1.18、心材の比重は含水率12%で1.2~1.3である。比重が高いことによって、乾燥時に材表面と材内部での含水率勾配による割れが生じやすいことから、少なくとも3年かけて天然乾燥を行う。乾燥材は極めて安定した特性を持ち、気象条件の変動に対し高い耐性を持ち、また極めて固い。そのため、加工の際にはタングステンカーバイド刃を用いる必要がある。このように、加工には非常に時間、コスト、技術を要する。

さらに、丸太の直径が20cm未満と小さく曲がったり捻じれたりしている場合が多く、製材歩留りが悪く、大量の廃棄木材がでる。輸出に回される製材の割合は、タンザニアの場合は9%程度に過ぎない。

輸出入動向と日本の需要

木材の国際市場取引量は少ないが、価格は極めて高い。半加工済のアフリカン・ブラックウッド材の輸出額は、2002年時点で200-300万米ドルと推定される。主な輸出国はタンザニアであり、1990-2000年にかけての年平均輸出量(材積)は73.5m3であった。主に小サイズのビレットの形で輸出され、2000年の平均価格は1m3あたり10,900米ドルであった。楽器用材料としての利用に関しては、欧米諸国をはじめとした各楽器メーカーに対して、1m3あたり1.8万米ドル以上の値段で取引されることが多い (Jenkins et al., 2002)。

かつては、マラウィ、ケニアでも多く生産されていたが、法律によって絶滅危惧種に予備評価されたり資源量の低下によって、生産量が減少している。タンザニアについても、近い将来に商業的利用が困難になることが懸念されている。現在の国際取引は安定しているものの、将来的には市場が高騰する可能性があり、生産方法や持続可能な収穫方法の開発が求められる。

主な輸入国はヨーロッパ(約70%)、アジア諸国(20%)、米国(10%)である。

マーケットの展望と課題

その高い価値のために過剰伐採が進み、資源量の低下および国際マーケットの不安定化が予想される。そのため、楽器メーカーなどによる材料の安定調達という観点では、不安定な部分が多い(Hamisy and Hantula, 2002; Jenkins et al, 2002)。しかし、主要生産国の一つであるタンザニアも含め、これらの資源量蓄積に関する統計は未整備で、資源に関する現状を把握することは困難な状況にある。さらに、楽器材に関しては、その供給ルートが不透明であることが多い。

そのため、生産国における持続可能な収穫方法の開発、成長速度や増殖法に関する研究など資源生産に関する情報収集、および、材の生産・加工・供給に関する情報収集が必要とされる。

参考情報
  • Ball, S.M.J., 2004. Stocks and exploitation of East African blackwood Dalbergia melanoxylon: a flagship species for Tanzania’s miombo woodlands? Oryx 38(3): 266–272.
  • Bolza, E. & Keating, W.G., 1972. African timbers: the properties, uses and characteristics of 700 species. Division of Building Research, CSIRO, Melbourne, Australia. 710 pp.
  • FAO
  • Hamisy, W.C., & Hantula, J., 2002. Characterization of genetic variation in African Blackwood, Dalbegia melanoxylon using random amplified microsatellite (RAMS) method. Plant genetic resources and biotechnology in Tanzania. Part, 1, 108-117.
  • Jenkins, M., Oldfield, S. & Aylett, t. 2002. International Trade in African Blackwood. Fauna & Flora International, Cambridge, UK.

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