インドネシアにおけるマングローブシルボフィッシャリーの貢献度可視化

背景と方法

  • マングローブ林はブルーカーボン、水質浄化、沿岸防護、生物多様性保全など重要な生態系サービスを提供するが、インドネシアではエビ養殖池への転換により大幅に減少している。
  • シルボフィッシャリーは、養殖池内または周辺にマングローブを植栽し、森林再生と水産養殖を両立させる管理手法である。
  • 本調査では東ジャワ州の養殖池を対象に、①中央植栽(間伐あり)、②中央植栽(間伐なし)、③外周植栽、④粗放的養殖池(対照区)の4区を比較した。
  • 調査では炭素ストック、水質、養殖生産性(ノコギリガザミ・エビ類)、および地域住民の意識を評価した。

結果

  • 炭素貯留機能については、中央植栽区で特に高い効果が確認され、中央植栽(間伐あり)では炭素ストック78.3 t-CO₂/ha、年間吸収量5.2 t-CO₂/ha/年と推定された。土壌炭素を含めると総吸収量は10.6 t-CO₂/ha/年と見積もられた。
  • 水質については、適切に管理された区では大きな問題はなかったが、中央植栽(間伐なし)区では有機物の過剰蓄積により溶存酸素が著しく低下し、富栄養化や嫌気化が発生した。
  • マングローブ植栽による明確な水質改善効果は確認されなかった一方、不適切な管理下では水質悪化を招く可能性が示された。
  • ノコギリガザミ養殖では、中央植栽(間伐あり)区および外周植栽区と対照区との間に有意な差はなく、マングローブ植栽が養殖生産を阻害しないことが確認された。一方、中央植栽(間伐なし)区では水質・底質環境の悪化により、生存率や成長量が有意に低下した。
  • エビ類は全区でほぼ全滅したため評価対象とならず、疾病や水循環不良の影響が示唆された。
  • 住民調査では、沿岸環境保全やシルボフィッシャリーへの期待は高かったが、初期投資資金不足や収益性データ不足が普及の課題として指摘された。

結論

  • シルボフィッシャリーの有望な養殖対象種として、マングローブ環境への適応性が高いノコギリガザミが挙げられた。
  • 総経済価値(TEV)評価では、シルボフィッシャリーは集約型養殖池には及ばないものの、粗放型養殖池より高い経済価値を持つ可能性が示された。
  • 結論として、シルボフィッシャリーは適切な植栽密度管理と水循環管理を行うことで、マングローブによる炭素貯留とノコギリガザミ養殖を両立できる可能性があることが示された。
  • 今後は、多様な立地条件での長期モニタリングや、環境価値と収益性を統合した評価手法の高度化が必要とされる。

詳細

詳細は下記報告書および技術雑誌をご覧ください。