Verra(民間認証機関)

概要

Verraは、2007年にアメリカで設立された非営利の団体で、気候変動対策と持続可能な開発に関するプロジェクト活動を評価するため、炭素クレジットをはじめとした様々な認証を行っています。Verraが認証する炭素クレジット(VCS)は、自主的な(ボランタリー)市場で取引され、その取引量は、2021年時の世界で流通する炭素クレジットの62%を占めており(World bank, 2022)、世界で一番認知度が高い炭素クレジットといえます。炭素クレジットの他にも様々な認証を行っており、代表的なものとして次の4つがあげられます。

①VCS(Verified Carbon Standard)認証

CO2削減・吸収量に対して炭素クレジットを認証・発行。対象分野は、植林、森林保全、農地管理などの土地利用の他、再生可能エネルギー、破棄物管理、二酸化炭素回収・貯留など16分野。

②プラスチック廃棄物削減(Plastic Wasted Reduction Standard)認証

3R Initiativeが開発した基準に沿って、Verraがプラスチックの回収やリサイクルに対して、プラスチック・リサイクル・クレジットを発行。

③CCBS(Climate, Community & Biodiversity Standard)認証

CCBA(Climate, Community & Biodiversity Alliance)が開発した基準に沿ってVerraが認証。VCSの植林、森林保全、アグロフォレストリー、持続的農業等の土地管理プロジェクトを対象に、生物多様性や地域住民へも貢献していることをラベリングするもの。温室効果ガスの削減・吸収だけでなく、生物多様性や地域住民にも貢献する植林プロジェクトを推進するために、Conservation InternationalやThe Nature Conservancy、CAREなどのNGOが提唱。

「総合、気候、地域コミュニティ、生物多様性」の4つのセクションについて基準と指標があり、点数に応じてゴールド、シルバーの認証が与えられます。VCSとCCBのダブル認証を取得することで、より高品質な炭素クレジットであることを担保できます。

④SDVISta (Sustainable Development Verified Impact Standard)認証

持続可能な開発目標(SDGs)へ貢献するプロジェクトを認証。ステークホルダーの意見を取り入れることや、プロジェクトが人々(地域住民や先住民)や自然・生態系サービスに負の影響を与えないこと、一つ以上のSDGsに直接貢献しインパクトを定量することが認証の条件になっています。使用方法として次の3つが想定されています。

  1. SDVISta認証のみを取得し、SDGsへの貢献を主張
  2. VCS認証に追加して取得し、ラベルとして使用(CCB認証とは異なり、森林・農業・土地利用プロジェクトに限らず全ての分野のVCSプロジェクトが対象)
  3. SDVISta認証下の方法論に基づき、クレジットを取得。方法論の一つに「Nature Framework」があり、生物多様性クレジットを創出する方法を開発

森づくり活動の可視化との関係

Verraは世界で最も認知度が高い炭素クレジット(VCS)を認証・発行しているので、本認証制度によって植林による吸収量を炭素クレジット化することで、ある程度の信頼性が担保できます。さらに、CCBSとのダブル認証をとれば、その植林活動が気候変動だけでなく、住民便益や生物多様性にもプラスの効果があることが示すことができます。基本的にどんな団体でもプロジェクトの申請が可能ですが、その認証・発行までには第3者機関による検証等の審査課程があり、そのための費用も高額であり、炭素クレジットの使用目的・用途を明確化することが重要です。その使用目的・用途が、転売やCORSIA等の削減目標達成のためのオフセットでなく、自社の排出の自主的オフセットや企業PRのために森づくり活動の可視化をしたいのであれば、必ずしも炭素クレジット化までは必要ないケースもあります。それでも、Verraは、植林による吸収量算定のための方法論等を開発しWeb上で無料公開しているので、それらを参考にしながら、“Verraが定める方法論にそって植林による吸収量を算定したところ~t CO2になりました”といった形で透明性ある形で公表するだけでもよいかもしれません。

植林を実施している企業の活用事例

関連用語

Plan Vivo、Gold Standard

参考URL

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