ESRS

内容

欧州サステナビリティ報告基準(European Sustainability Reporting Standards:ESRS)は、欧州の企業サステナビリティ報告指令(Corporate Sustainability Reporting Directive:CSRD)の下で、情報開示の項目を設定した基準で、2024年度の企業会計から採用されます。

日本企業でEUに子会社または支店がある大企業で、CSRDの適用条件を満たす場合、ESRSによる情報開示の対象になります。

全セクターに共通の基準として、全般的な開示基準と、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)に関する開示基準があり、「環境(E)」の中に「気候変動(E1)」や「汚染(E2)」、「水および海洋資源(E3)」「生物多様性および生態系(E4)」「資源使用及び循環型経済(E5)」に関する項目があります。セクター別基準と中小企業向け基準についても今後策定される予定です。

ESRS環境基準とTNFD開示基準の一貫性を保つために両者は協力しており、ESRS環境基準とTNFDの開示項目および指標は高い整合性があります。また、TNFDで自然関連の問題を特定・評価するために用いるLEAPアプローチの使用もESRSは推奨しています。

したがって日本企業がTNFDに沿った開示を進めるにあたり、ESRSによる欧州の報告事例は今後参考になると思われます。

植林の成果の視える化との関係

EU諸国では植林活動をはじめ環境への取り組みが先行しているため、どのような指標やツールが用いられているのかを参考にすることができます。

「生物多様性と生態系の変化に関する指標」においては、指標の選択と利用について以下の点について考慮することを求めており(ESRS E4-5)、視える化を行う上で大切な視点と考えられます。

  • 使用した方法論と測定する対象範囲(事業、サイト、商品等)
  • 指標の生物多様性の構成要素(種や生態系)
  • 生態学的閾値を用いた場合、その割り当て
  • モニタリング頻度と指標、ベースライン値
  • 測定に使用したデータの質(一次データ、二次データ、モデル化したデータ、または専門家の判断)
  • 測定基準が法律で義務付けられているか否か

関連用語

TNFD

参考URL

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