エチオピア

森林の概況

自然地理と土地利用区分の概要

自然地理

エチオピア連邦民主共和国(以下、エチオピア)はアフリカ大陸の東部に位置する連邦共和国であり、国土面積は1億970万haである。

中央部にはエチオピア高原が広がり、首都のアディスアベバも標高約2,355mに位置する高原都市となっている。エチオピアは標高の変化が大きく、国土の大部分が1,500mから3,000mの間に位置する高地である。高原地域は農業に適しており、国の経済や生活に重要な役割を果たしている。

図1 エチオピアの地形
出典:https://srv1.worldometers.info/img/maps/ethiopia_physical_map.gif

気候

エチオピアの気候帯は多様性に富み、南部および南西部の降雨量と湿度の高い熱帯雨林から、セメン山脈とバレ山脈の山頂のアフリカ山地地域、そしてエチオピア北東部、東部、南東部の砂漠地域まで多岐にわたる。エチオピアの気候は、伝統的に標高と気温に基づいて6つの異なる気候帯に分けられている。

  1. ベレハ(Bereha、暑い乾燥気候):エチオピアの低地地域、特に東部や南東部のソマリ州、アファール州、そしてダナキル砂漠周辺に分布。非常に暑く乾燥しており、年間降水量が少ないのが特徴。
  2. コラ(Kolla、温暖な半乾燥気候):低地から中低地、特に南部地域(例:オロミア州の一部や南部諸民族州)や西部地域に広がっている。温暖な気候であり、降水量は比較的少ないが、農業が可能な程度には降る。
  3. デガ(Dega、涼しく湿度の高い気候):エチオピアの高地、特に標高2,500m以上の地域(シミエン山地やバレ山地)に分布している。涼しく、湿度が高く、年間を通して降水が多いのが特徴。
  4. ウェイヤ・デガ(Weyna Dega、涼しくやや湿潤な気候):標高1,500mから2,500mの中高地、特に中央高原部分(例:アムハラ州、オロミア州の中部、ティグレ州の一部)に分布。涼しく、適度に湿潤であり、農業を営むのに非常に適している。
  5. ハイ・デガ(High Dega、寒冷で湿潤な気候):標高2,500m以上の高地、特に中央高原の高標高地域(例:アムハラ州、オロミア州の高地部分、ティグレ州の高標高地帯)に分布。寒冷で湿潤な気候が特徴であり、農業には適しているが、寒冷による農業技術の工夫が必要とされる。
  6. ウルチ(Wurch、涼しく湿潤な気候):標高3,000m以上の高山地帯に分布。非常に涼しく、湿度が高い。降水量も多く、農業に適した土地は限られているが、牧畜が行われることがある。
図2 エチオピアの伝統的な気候帯(Agroecological Belts)の分布(H. Hurni, 1998)
出典:https://edepot.wur.nl/484855

エチオピアの季節は3季に区分され、雨季は6月から9月、乾季は10月から1月、乾季から雨季への移行期は2月から5月である。 

地域別の気温、降水量については、World BankがWebサイトClimate Change Knowledge Portalでエチオピア全体および州ごとの、月平均最低気温、日平均気温、最高気温および月降水量(1991-2023)の情報を公開しており、それぞれダウンロードすることができる。

 エチオピア全体および州ごとのグラフの例
出典:https://climateknowledgeportal.worldbank.org/country/ethiopia

Köppen-Geigerの区分に基づく気候区分図は、1980-2016年の情報をもとに作成されたものがWikimediaにより提供されている(図4)。

図4 Köppen-Geigerの区分に基づくエチオピアの気候区分
出典:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/24/Koppen-Geiger_Map_ETH_present.svg

産業

2019年時点において、エチオピアの労働力人口は約5,700万人であり、全人口の約50%にあたる。業種別の就業人口については、農林水産業が最大で約2,500万人、次いでサービス業が約1,900万人、製造業が約1,100万人となっている。

2022年時点で、農用地の面積(永年作物地、永年採草・放牧地を含む)は約1,080万ha(国土面積の約10%)で、GDPに占める農林水産業の割合は約30%である。

土地利用区分

エチオピアが2017年3月にUNFCCCに提出した「Ethiopia’s Forest Reference Level Submission to the UNFCCC」(modified submission)の記載によると、土地利用/土地区分については、2004年に実施されたWoody Biomass Inventory Strategic Planning Project(WBISPP)における地図作成経験と、森林インベントリの経験から得られたエチオピアの一般的な土地状況に基づいて特定されたとしている。表1に各区分およびそれぞれの概要を整理した。

CODE名称説明
1農業地 (Agriculture)雨や灌漑により、小規模または商業レベルで、小麦などの年次作物や、コーヒーなどの多年生作物を栽培している土地
2草地 (Grassland)イネ科および草本植物の自然生長に覆われた土地、または家畜の放牧用に外来の草およびマメ科植物が植えられた土地
3灌木林(開放型) (Scrubland)低木および灌木、主に棘のある落葉樹または常緑樹が生育している土地。地表の半分以上が裸地
4灌木林(疎生型) (Shrubland)低木または灌木がそれぞれ単体あるいは合計して樹冠被覆率が10%以下の土地。低木・灌木とは、成長すると高さ2mになる木質の多年生植物を意味する
5低木林(疎生型) (Open Woodland)自然に生長したイネ科植物および草本植物に覆われた土地で、樹木が樹冠被覆率3%未満で散在している土地
6低木林(密生型) (Dense Woodland)樹木が樹冠被覆率20~80%で連続して生えている土地。遷移過程にある階層構造を持つ森林も含まれる。樹高は一般的に20mを超えないが、時にはそれを超える場合もある
7高木林(High Forest)常緑樹または半落葉樹が比較的連続して生い茂る土地。上層部の樹冠被覆率によりさらに3種に分類される。 閉鎖型(80%超)、密生型(50~80%)、開放型(20~50%)
8裸地(Bareland)植物の生育が困難で、植物による被覆が面積の3分の1未満である土地。樹木が生えていたとしても低木林や灌木林よりも間隔が広い
9建造物密集地 (Builtup)土地の大部分が建造物で覆われた土地。建物のみならず交通、電力、通信施設等のインフラ整備に係る部分も含まれる
10亜高山帯植生 (Afroalpine)標高3,000m以上に位置し、小高木、低木、低木状草本類、草本類、ツンドラ植物類により構成される植生帯
11植林地 (Plantation)広葉樹、針葉樹、あるいはそれらの混合により、人為的に樹木が植栽された土地で面積が0.5haを超えるもの。萌芽更新により管理されている樹林地も含まれる
12塩沼地 (Saltpan)湿地としては見做されない内陸砂漠の盆地の平らな底面に発達する乾燥塩原
13湿地 (Wetland)親水性の草本植物が優勢な土地。または地下水位が高く年の大半が非植生地である土地。塩性湿地、非植生干潟、淡水草地、湿地草原、開放性湿地などが含まれる
14竹林 (Bamboo)自然再生/植林された森林で、タケ類が優占し、面積、樹冠被覆率、樹高が森林の基準を満たすもの
15河岸林 (Riverine)高木林の条件を満たし、かつ主要河川の河岸沿いに生育し、河川から20~50mの緩衝地帯に広がる森林で、主にクワ科、クワズイモ科、ミモザ科の植物で構成される
16水域 (Water body)幅員15m以上の常流または断続的な主要河川、湖、池、貯水池が占める区域
表1 エチオピアの土地利用区分(EFCCC, 2017)
出典:Ethiopia’s Forest Reference Level Submisssion to the UNFCCC, March 2017 (modified submission) に掲載されている表を基に説明部分を要約して作成 https://redd.unfccc.int/media/ethiopia_frel_3.2_final_modified_submission.pdf

区分毎の面積等の情報は公開されていなかったが、土地利用および土地被覆図は、2013年に環境・森林・気候変動省(MEFCC)が作成したEthiopia’s Forest Reference Level Submission to the UNFCCCに掲載されている。土地利用および土地被覆図については、ArcGISのプラットフォームやRegional Centre for Mapping of Resources for Development (RCMRD) のHPでデータセットが提供されている。

生物多様性

エチオピアの国土の大部分が、WWFが指定したグローバル200の区域内、「東アフリカの山地林」と「アフリカの角 アカシアのサバンナ」に覆われ、生物多様性保全の観点から重要な生態地域であると位置づけられている。この動植物の生物多様性は、この地域の地形学的歴史と密接に関連している。

エチオピアの地形学的歴史は、高地の隆起と地溝の形成の時期によって特徴づけられる。 火山活動により7500万年前に隆起が始まったグレート・リフト・バレーによって、高地は北西部と南東部に分けられている。一般的に、高地の隆起は、水文学、標高、地形の不均一性を生み出し、それにより生物の新たな生息地を形成し、分類群の多様化を促進することが示されている。

植物地理学的に見ると、エチオピア南西部には熱帯低地の雨林、東部には乾燥および半乾燥の乾燥林、北部と南東部にはアフリカ高山帯の森林が成立している。 地形や気候が多様なことも影響して6,500~7,000種の維管束植物が自生しそのうち12%が固有種であると推定されている(M. Asefa, M. Cao, Y. He, E. Mekonnen, X. Son, J. Yang; Ethiopian vegetation types, climate and topography; 2020; https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2468265920300378

森林の定義

エチオピアでは森林を以下のとおり定義している。

用語定義
森林樹木(竹を含む)で覆われた0.5ha以上の土地(幅が最低20m、または全長の3分の2を超えないもの)で、樹高が2m以上、樹冠被覆率が20%以上、または将来的に現地でこれらの基準に達する可能性のある樹木。
表2 森林の定義(MEFCC, 2015)

森林セクター管理に関するMEFCC議事録(Minutes of Forest sector management, MEFCC, Feb. 2015)に記載されている。竹も樹木と見なしているのが特徴的である。

森林の区分

FAOの森林定義に基づく、エチオピアの森林植生区分を表3に示す。

植生タイプ特徴
アカシア-Commiphora落葉性の小木や低木により構成される。エチオピアの乾燥地域に広く見られる
竹林 (Bamboo Tickets)竹が優勢する密集林で、主に標高の高い地域に成立する
Combretum-Terminalia落葉性の広葉樹で構成され、エチオピア国内のさまざまな低地地域に成立している
乾燥常緑樹山地林エチオピアの高地に分布し、冷涼な気候に適応した常緑樹により構成される
ポドカルプス雨林湿潤な気候帯下で成立し、東部および南部の高原の西側および西側の尾根に分布している
ジュニパー林北部および中央高地に分布し、Juniperus属の樹木が優勢する
表3 エチオピアの森林植生(FAO, 2020)

2015年において、蓄積量の多い在来樹種の上位10樹種は1. Pouteria adolfi-friedericii Aningeria adolfi-friederici)、2. Syzygium guineense、3. Juniperus procera、4. Schefflera abyssinica Astropanax abyssinicus)、5. Croton macrostachys、6. Ficus sur、7. Ekebergia capensis、8. Combretum molle、9. Albizia gummifera、10. Ficus vastaであり、これら10種で在来樹種の全蓄積量の74.1%(1,613.9百万m3)を占めている。特にPouteria adolfi-friedericii (Aningeria adolfi-friederici)の蓄積量が、全体の19.6%(427.5百万㎥)を占める。同樹種は、価値の高い材木を産出するだけでなく、地元住民にとって重要な食料(果実)、薬の供給源となっており、大切に保全されてきたと考えられる。

また、外来樹種については、1. Eucalyptus globulus(サザンブルーガム)、2. Cupressus lusitanicaHesperocyparis lusitanica、メキシカンサイプレス)の2種の蓄積量がFAOに報告されている。

なお、タケはエチオピアの重要な森林資源であり、林業セクターの発展に大きく貢献する可能性があるとされる。タケの経済的・環境的価値を最大限に引き出し、持続可能な発展を図ることを目的として全国竹産業開発利用戦略および行動計画(2019年~2030年)が策定されている。エチオピアの竹林総面積は2016年時点で約147万haと推定されている(China and International Bamboo and Rattan Organisation, Remote sensing-Based Regional Bamboo Resource Assessment Report of Ethiopia, Kenya and Uganda, 2018)。

行政上の土地分類

エチオピアの森林は、所有形態別に国有林、私有林、共同林、組合林の4つに、設定目的別に保護林、保全林、生産林3つに区分され、それぞれの定義が森林法に明記されている(表4、表5)。

区分名定義
国有林連邦政府または州政府が所有する、専ら保全および生産を目的とした森林
私有林州または共同体の所有地以外の森林で、私有地または機関所有地で開発された森林
共同林共同体の私有地または共有地で、共同体が開発した法律および計画に基づき、共同体が開発、保全、利用、管理する森林
組合林森林開発を目的として設立された組合が開発、保全、利用、管理する森林
表4 所有形態による区分とその定義(エチオピア森林法)
区分名定義
保護林 (Protected forest)さまざまな生態系サービスを提供する森林を意味し、森林生態系の価値の持続可能性に影響を与えることなく、責任を有する機関が策定した森林管理計画に従って利用される
保全林 (Preserved forest)生物多様性の保全、歴史的、研究目的のために、人間および家畜の介入を排除して保全される森林
生産林 (Production forest)主に経済的目的のために開発された森林
表5 設定目的による区分とその定義(エチオピア森林法)

森林資源の減少と劣化の要因

エチオピアREDD+事務局の2015年の研究において、森林減少と森林劣化の要因は、家畜の放牧、飼料利用、薪炭材の採取及び木炭生産であることが明らかとなった。さらに農地拡大、野焼き、建築用木材の伐採についても注視すべき要因として挙げられた。また、フレームワーク分析に基づいて、森林破壊と劣化の構造的背景には、人口増加、土地所有権の不安定さ、法執行の不備があることが特定された。

ガンベラ州、ベニシャングル・グムズ州、アファール州では、官営、民営での大規模な投資農業計画による放牧の拡大が平野部や低地の森林に大きな影響を与えている。エチオピア・ソマリ州とアファール州では、殆どの農村世帯が主要な生計収入源として木炭を生産しており、薪炭材生産が森林減少の要因とされた。

森林減少面積の推移では、1994年までは強くみられていた森林減少の傾向は、1994年と2007年に策定された国家森林政策で違法な森林利用者の取締りが強化されたことで緩和していった。森林タイプ別にみると、高木林(High Forest)が、軍事政権からエチオピア連邦民主共和国への政治的移行期(1991-1995年)において最も大きな影響を受けて減少した。

図5 森林タイプ別森林減少面積の推移 (1994-2010年)(Wondimagegn Mengist1, Asaye Asfaw, 2023)

また、植生タイプ別の植生の破壊・劣化の要因は表6の通りである。

No.植生タイプ標高植生の破壊・劣化の要因
1アフリカ高山帯、アフリカ亜高山帯(Afroalpine & sub-afroalpine)3,200 – 4,533 m農業、気候変動
2乾燥常緑山地林と草原複合体(Dry evergreen montane & grassland complex)1,800 – 3,000 m農業、放牧、燃料用木材採取
3湿潤常緑山地林(Moist evergreen montane forest)500 – 2,600 m農業、茶およびコーヒー農園への転換
4アカシア-コミフォラ樹林帯(Acacia-Commiphora woodland)900 – 1,900 m燃料用木材採取、炭、農業
5コムブレタム-ターミナリア樹林帯(Combretum-Terminalia woodland)500 – 1,900 m森林火災、居住地等への転換
6低地半常緑樹林(Lowland semi-evergreen forest)450 – 650 m森林火災、インフラ整備
7砂漠および半砂漠低木帯(Desert & semi-desert scrubland)<400 m外来種との競合、放牧
8親水生植物帯(Aquatic vegetation)Lowlands to highlands土砂堆積、外来種との競合、農地への転換
表6 植生タイプ別の破壊・劣化の要因(M. Asefa, M. Cao, Y. He, E. Mekonnen, X. Song, J. Yang; 2020)
出典:Ethiopian vegetation types, climate and topography https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2468265920300378?via%3Dihub

森林・林業に係る法制度

森林開発、保全および利用に関する布告(森林法)(2018年制定)

実質的な森林法である。国の森林資源の持続可能な管理と保護を目的として、森林の保護、管理、利用に関する基本的な法的枠組みを規定している。また、違法伐採の防止、森林再生、森林計画の策定に係る項目についても規定している。具体的な条項による規定を表7に示す。

分野規程内容
森林開発植林活動新たな森林の造成や既存の森林の拡大を促進するための植林活動を奨励・支援
持続可能な管理森林資源の持続可能な利用を確保するため、適切な管理計画の策定と実施の義務付け
森林保全保護区域の設定生態系の保護や生物多様性の維持を目的として、重要な森林地域を保護区域として指定
違法伐採の防止違法な伐採活動を防止するための監視体制の強化や罰則の導入
生態系の回復劣化した森林の回復や再生を目的とした活動を支援
森林の利用木材および非木材林産物の利用持続可能な方法で木材や非木材林産物を収穫し、利用するためのガイドラインと規制を策定
経済的利用の促進森林資源を利用した経済活動(エコツーリズム、持続可能な林業など)を奨励し、地域経済の発展に寄与
コミュニティの参加地域住民の関与森林管理において地域コミュニティの参加を促進し、彼らの権利や利益を保護
教育と啓発森林保全の重要性についての教育活動や啓発キャンペーンを実施
ガバナンスと法執行管理機関の設立森林管理を統括するための政府機関や委員会を設立し、その権限と責任を明確化
法的枠組みの整備森林に関する法的枠組みを整備し、違反行為に対する厳格な罰則を規定
表7 森林法における規定の概要(エチオピア森林法)

環境保護機関設置法(2002年制定)

エチオピアの環境保護と持続可能な開発を促進することを目的として、環境保護、管理、持続可能な利用を推進するための機関の設立およびその権限や責任に関する事項について規定している。これには森林保護に係る部門も含まれている。

環境影響評価法(2002年制定)

環境影響評価(EIA)の制度を確立し、開発活動が環境に与える影響を事前に評価・管理することを目的とし、持続可能な開発を推進し、環境保護を強化するための具体的な手続きについて規定している。

森林・林業に携わる管轄組織

農業省 (Ministry of Agriculture)

1907年に設立された組織であり、2021年の大幅な組織改正により、それまで環境・森林・気候変動委員会が担っていた森林関係の業務も扱うことになった。

農業および森林開発の持続可能性と競争力を確保するための政策、戦略、プログラム、法的枠組みを策定し、関係機関の承認を得た上で実施する権限と機能を持つ。森林関連の組織として傘下に森林開発局 (Ethiopian Forestry Development; EFD) と、生物多様性研究所 (Ethiopian Biodiversity Institute;EBI) を抱えている。

森林開発庁 (Ethiopian Forestry Development; EFD)

上述したとおり、農業省の一機関であり、森林法の実質的な執行機関として位置づけられている。森林の保全、開発、持続可能な利用を促進するための、実情に基づく政策、戦略、法的手段を策定・実施することを職務としている。

担当業務は、森林利用権の管理、森林管理、法的保護、情報普及、持続可能な森林開発支援、資金調達、新規苗畑設置、都市林業推進、種子・苗木管理、森林犯罪防止、経済発展確保、技術・財政支援、関連機関との協力、各種許可証の発行等々と多岐にわたり、研究開発のための国内の8つの研究施設も統括している。

生物多様性研究所 (Ethiopian Biodiversity Institute; EBI)

上述したとおり、農業省の一機関であり、生物多様性の保全と持続可能な利用の促進、国際関係の維持・発展、国際条約の実施に関する責任と義務を負っている。

研究所は7つの研究部門で構成されているが、森林関係で直接的に重要な部門は、森林・草地植物生物多様性研究部門であり、植物種の収集・保全、特性評価、劣化した生態系や絶滅危惧種の復元、研究用植物の提供配布、森林植生調査、国立植物標本室の設立が含まれる。また、利用者への森林・草地植物苗の配布、施設見学の受入、政策に関する助言、植物の同定等のサービスの提供を行っている。

国内に生物多様性センターを7カ所、植物園を2ヵ所、遺伝子バンクを1ヵ所設置している。環境保護局 (Ethiopian Environmental Protection Authority; EEPA)

エチオピアの環境を管理する連邦機関の一つであり、環境の保護と保全の推進、汚染、気候変動、生物多様性の損失等の負の影響に対処することを使命としている。

エチオピアの環境政策を推進するほか、戦略、政策、法律、基準、手続きの策定を行い、その実施状況を監視し、確実な実現に向けて必要な措置を講じる等の活動を行っている。

環境保護局のWebサイトには、2021年に環境・森林・気候変動委員会が改称・再編されて現組織となったと記されているが、森林分野に関しては、森林法の執行に係る権限および職務(powers and duties)は農業省に引き継がれ、環境保護局には環境森林気候変動委員会の権利および義務(rights and obligations)が移管されると、言葉を使い分けたうえで位置づけられている。

その他

  • 環境・森林・気候変動省 (Ministry of Environment, Forest and Climate Change; MEFCC)
  • 環境・森林・気候変動委員会 (Environment and Forest and Climate Change Commission; EFCCC)

前者は2018年に改称・再編されて後者に、後者は2021年に改称・再編されてエチオピア環境保護局となり、ともに現在は存在しない組織であるが、森林に関する過去の重要な情報は、特に環境・森林・気候変動省により作成されたものが多く、情報収集を行うにあたってはそのことを念頭に置いて検索を行うことが肝要である。

植林関連基礎情報

植林政策

エチオピアでは1980年代以降、さまざまな植林に係る政策が実施されてきた。それらのうち主なものを時系列に並べると以下のとおりとなる。

  • 1980年代初頭:国家植林計画National Reforestation Program
  • 1994年:エチオピア森林行動計画Ethiopian Forestry Action Plan (EFAP)
  • 1997年:環境政策(Environmental Policy of Ethiopia)
  • 2005年:エチオピア森林政策・戦略Ethiopian Forest Policy and Strategy
  • 2011年:グリーン経済戦略Climate-Resilient Green Economy Strategy
  • 2016年:森林開発・保全・利用政策と戦略Forest Development, Conservation, and Utilization Policy and Strategy
  • 2019年:グリーン・レガシー・イニシアティブGreen Legacy Initiative

国家植林計画 (National Reforestation Program)

森林の減少と土壌侵食に対処するための最初の試みである。苗畑を各地に設置し必要な苗木を地域住民に提供するとともに、住民に対して植林方法や森林管理の教育とトレーニングを提供した。このプログラムの実施により、コミュニティベースの植林活動が推進された。

エチオピア森林行動計画 (Ethiopian Forestry Action Plan; EFAP)

持続可能な森林管理と植林活動を強化するための包括的な計画であり、森林資源の保全と持続可能な利用を目標として1994年から開始されたプログラム。FAOをはじめWorld Bank、UNDP等、さまざまな国際機関の技術的・資金的協力を得て実施された。

エチオピア森林政策・戦略 (Ethiopian Forest Policy and Strategy)

森林資源の持続可能な管理と保全を目指した。政策の一環として、植林活動の拡大とコミュニティの参加が奨励された。大規模な植林活動を通じて森林面積を拡大するとともに、コミュニティベースの森林管理の仕組みが構築された。

グリーン経済戦略 (Climate-Resilient Green Economy Strategy)

エチオピアの経済発展と環境保護を両立させるための戦略であり、経済的および生態系のサービス、特に炭素貯蔵としての機能を高めるために、森林を保護し再生することが目指された。その中で、植林活動が重要な役割を果たし、森林再生と炭素吸収の促進が目指された。

森林開発・保全・利用政策と戦略 (Forest Development, Conservation, and Utilization Policy and Strategy)

持続可能な森林管理、植林活動の拡大、森林保全を強化するための新たな指針を提供した。政府と民間セクターの協力が強調された。

グリーン・レガシー・イニシアティブ (Green Legacy Initiative)

全国的な植樹キャンペーンであり、1シーズンに40億本、4年以内に200億本の樹木を植えることを目標に掲げ2019年6月に開始されたプログラム。アフリカ連合によって、サハラ砂漠の南端に沿って幅15km、長さ約8,000kmの緑の帯を作ることを目標として開始されたPan-African Great Green Wall project(Great Green Wall Initiative)の一翼を担っている。全国で12万以上の苗畑が整備されたことにより、女性や若者を中心に76万7,000人以上の雇用が創出され、4年間で計画以上の250億本の樹木が植栽された。世界中で注目を集め、大規模な植林活動の一環として評価されている。

環境政策 (Environmental Policy of Ethiopia)

エチオピアの環境保護と持続可能な開発を目指して具体的な活動を行うための指針を提供した。現在も継続的に実施されている政策である。これまでこの政策に即した活動の実施により、①森林面積の増加、②水資源の管理改善、③生物多様性の保護、④環境意識の向上、法的枠組みの整備等について成果が上げられている。

森林・植林に関して、第三章の部門別環境政策において指針が定められている(表8、指針部分は要約)

番号項目指針
3.1土壌管理と持続可能な農業の実践l. 放牧地の再植林と土壌浸食の低減の促進
3.2森林、林地、樹木資源の健全性・持続性の確保d. 外来種植林の適用範囲の規制、在来樹種活用の推奨 e. 適地適木の植栽により耕作不可能地域の植生回復の支援 f. 森林の純成長量に見合った伐採量の遵守 i. 建設用、燃料用木材の代替品の開発
3.4水資源の保全湿地・水源林の重要性に対する認識の向上、修復、保全、開発、管理に係る体制の統合
3.5エネルギー資源c. 木質燃料の大量消費機関・産業による必要量確保のための自家調達用植林の促進 d. 民間企業化による都市近郊での政府借地による燃料用植林地造成の奨励 h.各家庭の木材需要量を満たすための各家庭による植林の推進
表8 環境政策(1997)に定められた森林・植林に係る行動指針(EPA, エチオピア環境政策, 1997)

植林実績

エチオピアの植林は、1994年と2007年に策定された国家森林政策等が効果を奏し、コミュニティ主体による植林も着実な伸びを見せている。

図6 植林面積の推移(FAO, 2020)

2017年に環境・森林・気候変動省(MEFCC)により策定された全国森林セクタープログラム(National Forest Sector Development Program)の計画書には、地域(州)ごとの植林実績が示されている(表9)。

Regional state公有/国有私有/ 共同体有Total
Oromia57,73927,80085,539
Amhara32,093639,400671,493
Tigray15,00023,70038,700
Addis Ababa27,000027,000
SNNPR57,201124,157181,358
Total189,033815,0571,004,090
表9 地域(州)別事業主体別植林地面積(単位:ha)
出典:National Forest Sector Development Program_Volume I (Situation Analysis) https://www.epa.gov.et/images/PDF/Forest_Programmes/National%20Forest%20Sector%20Development%20Program_Volume%20I;%20Situation%20Analysis.pdf

主な植栽樹種

エチオピアでは、ユーカリ類(Eucalyptus)、イトスギ類(Cupressus)、マツ類(Pinus)、アカシア類(Acacia)、ハゴロモノキ類 (Grevillea) の5属の限られた樹種が植林地の大半を占めている。全てが外来種である。特にユーカリは人工林の9割以上の面積を占めている。60種近いユーカリが試験的に導入されたが、現在はE. globulusE. camaldulensisが最も広く普及している。

Regional state各樹種の植Total
EucalyptusCupressusGrevilleaPinusAcacia decrenseEuc+Cup mixedOthers
Oromia56,08215,8984721,2176401,03274,765
Amhara653,2605,80943205935,6995,699671,492
Tigray38,70000000038,700
Addis Ababa27,00000000027,000
SNNPR152,75711,4402,8601,43005,7207,150181,357
Total927,79933,1473,7642,64765711,41913,881993,314
表10 地域(州) 別樹種別植林地面積(単位:ha)
出典:National Forest Sector Development Program_Volume I (Situation Analysis) https://www.epa.gov.et/images/PDF/Forest_Programmes/National%20Forest%20Sector%20Development%20Program_Volume%20I;%20Situation%20Analysis.pdf

なお、外来種の導入については、1997年制定のエチオピア環境政策(Environmental Policy of Ethiopia)の第3.2項森林、樹林、樹木資源の第d号において「外来種の使用は私有林(backyard woodlots)、都市周辺での植林、特定の産業およびその他のプロジェクトのための植林に限定すること。それ以外の場合は、外来種に関する信頼できる情報および知識が利用可能になるまでは、植林には環境と調和しその健全性を確保できる在来種を使用すること」と定められているので注意が必要である。

種子の供給源については、エチオピア森林開発庁(Ethiopian Forestry Development)が樹木種子源全国データベースシステムを構築し、その情報をWeb上で公開している。アムハラ森林公社だけでも226の種子供給源を特定しており、そのうち148の種子供給源から種子が収集されている。種子供給源は、天然林、植林地、農地に植えられた樹木を対象としており、そのほとんどは、人工林に植栽された外来種であるが、Juniperus procera等の在来樹種の情報も含まれている。

植林ポテンシャル

植林エリア

World Resources InstituteがWeb上で提供しているAtlas of Forest and Landscape Restoration Opportunitiesによって示されたエチオピアの潜在的森林回復(植林)可能エリアの図面およびその判定の根拠となっている情報(図面)を図7に示す。

図7 上記Atlasで示された潜在的森林回復(植林)可能エリアとその判定根拠
出典:World Resources InstituteがWeb上で提供しているのデータベースを活用して作成https://www.wri.org/applications/maps/flr-atlas/#

エチオピア東部の平原地帯および南部地域、北西部のスーダン国境沿いの地域は、気候(降雨量・気温)の影響によりアカシアやコミフォラを主体とした疎林しか成立しないことから森林の成立可能エリアからは除外されている。森林の成立可能エリアのなかで森林が現存せず、かつ人間活動による圧力の程度を加味した上で潜在的森林回復(植林)可能エリアが判定される。

森林の成立可能エリアのほぼ全域において何らかの植林活動を行う余地(必要性)があるとされるが、大規模な植林を行える(行う必要がある)区域はごく一部に限られ、それらは閉鎖林(closed forests)、エチオピアの森林区分で高木林(High Forest)の成立が可能とされる区域の周辺部に散在している。それらの地域では周囲に森林が残存しているものの断片的であり、人為的な圧力もやや見られるとされることから、植林対象地を選択するにあたっては地域の社会的状況を踏まえながら慎重に判断することが肝要と考えられる。

植林にあたっての課題

エチオピアで植林を行うにあたり、CIFORやFarm Africaの研究者が整理した課題を表11に示す。

課題内容
地域社会の関与不足植林活動への地域社会の関与が不十分であり、プロジェクトの持続可能性を損なう要因となっている
植林目的の不明確さ植林や再緑化プロジェクトの具体的な目的が明確に定義されていないため、効果的な管理や評価が困難となっている
管理計画の欠如多くのプロジェクトにおいて、体系的な管理計画が存在せず、森林回復の進行や成果を適切に管理できていない
責任の不明確さと利益共有の問題プロジェクトにおける責任の所在や利益の分配が明確でないため、地域社会の協力が得られにくくなっている
植林活動の技術的な質の低さ植林の技術的な質が低く、最適な生態系回復や経済的利益を達成するための方法が十分に確立されていない
外部支援への依存外部の援助機関やNGOへの依存が高く、地域コミュニティに自主的にプロジェクトを持続させる能力が育っていない
表11 植林活動を行うに当たっての課題(M. Lemenih & H. Kassa, 2014)
出典:Re-Greening Ethiopia: History, Challenges and Lessonshttps://www.mdpi.com/1999-4907/5/8/1896

特に、在来樹種を用いた植林が推奨されている中で、その植栽適地、育成・管理技術、生育特性に係る情報が不足している。これまでに多くの植林実績を持つユーカリ類やイトスギ類では、地域や地位によって成長に差が生じることが明らかとなっており、在来樹種についても国内での生育特性を解明することが国の研究機関に求められている。

また、森林火災の多発も、森林保全・修復を行う上での障壁の一つとなっている。2021年3月には6つ以上の国立公園で森林火災が発生し、各公園で4万ha以上の森林が破壊されたとされている。

植林を実施している民間企業・NGO

民間企業・NGOによる植林活動例

団体名概要対象地
フー太郎の森基金1999年にエチオピア北部のアムハラ州ラリベラに現地事務所を開設し、植林・育林事業を開始。ラリベラとその周辺の3つの小学校に環境クラブを組織し、クラブに参加した子供たちと種から苗を育て、植林し育ててきた。活動開始から11年間で35万本の木をラリベラに植栽。2010年から2012年の3年間にはJICA事業により150万本の植林を実施した。http://futaro.org/index2.php 「ラリベラ21世紀の森構想」(H13、H15、H16、H17、H18、H20、H25、H27、H28、H29、H30、R01、R03、R04緑の募金)アムハラ州
オイスカオイスカが各国で展開している「子供の森」計画をエチオピアでも実施。小規模ではあるが2023年度にも植栽実績があることが団体のHPに記されている。https://oisca.org/projects/cfp/ 
認定NPO法人ホープ・インターナショナル開発機構エチオピア南部の南エチオピア州ウバ・デプレツァハイ地区において、防災と食料安全保障を目的として、住民参加型で2,000本の木や果樹を植栽している。(R06緑の募金)https://www.hope.or.jp/2024/11/17/restoring-forests-to-protect-water南エチオピア州
日本国際ボランティアセンター平成10年度に、公益社団法人国土緑化推進機構の緑の募金公募事業からの支援を受けて、エチオピア国で小学校による造林環境改善支援事業を実施している。 
Green Ethiopia Foundation森林再生と環境保護を目指して活動しているエチオピア国内のNGO。植林活動や水資源の保全に取り組んでいる。在来樹種の植林による森林再生を図るとともに、家畜や伐採から森林を保護している。 2023年だけでも1,030万本の樹木を植栽。オロミア州では、計430万本の林業用樹木および34.8万本の果樹、18.2万本のコーヒーの苗を植栽。アムハラ州では、3.4百万本の林業用樹木および1.6万本の果樹の苗を植栽。シダマ州では、1.7百万本の林業用樹木および1.6万本の果樹、5万本のコーヒーの苗を植栽。なお、ティグレ州も対象地域であるが、過去2年間は内戦の影響で活動を休止。 https://greenethiopia.org/en/foundation/ https://greenethiopia.org/wp-content/uploads/2024/02/2023_annual_report.pdfオロミア州、アムハラ州、シダマ州、ティグレ州
Farm Africa英国に本拠地を置き、エチオピアを含むアフリカ各地で持続可能な農業と森林保全を推進しているNGO。エチオピアでは植林プロジェクトやコミュニティの生活向上を支援している。 2020年には、オロミア州で実施されたGreen Legacy Campaignに参加し、Mojo町で5haにわたり在来樹種の苗木を植栽、GalorapeとAbine Garmama町では2.7万本の苗木を植栽した。 https://www.farmafrica.org/ https://www.farmafrica.org/wp-content/uploads/2024/07/farm-africa-strategic-plan-2021-2025.pdf https://www.farmafrica.org/our-work/our-programmes/?_sft_country=ethiopiaオロミア州、他
World Vision Ethiopia英国に本拠地を置く国際NGO。エチオピアにも地域事務所を構え、多岐にわたる開発支援を行い、森林保全や植林活動もその一環として実施している。現在、南エチオピア州においてWorld Bankと共同してHumbo Forest Reclamation Projectを実施。アフリカで初めて国連気候変動条約枠組み(UNFCCC)に登録される大規模森林プロジェクト。2,700ha超の荒地の再生を目指している。農家管理型森林再生(FMNR)と称する手法を用い、切り株からの萌芽更新を保護すること等により森林再生を促進している。https://www.worldbank.org/ja/news/feature/2010/03/12/greening-ethiopia-rift-valley南エチオピア州、他
Trees for the Future英国に本拠地を置き、飢餓、貧困、環境悪化の解消を目的として活動している国際NGO。現在、サハラ砂漠以南の5か国で活動を展開している。エチオピアでは、農村地域の生活改善と環境保護を目指し、植林と持続可能な農業を推進していたが、現在はエチオピアでの活動を休止している。 https://trees.org/
Tree Aid英国に本拠地を置き、アフリカの乾燥地域において、植林、土地再生や貧困と気候危機の解消に取り組んでいる国際NGO。 プロジェクト名:Future Forest project in Ethiopiaエチオピアでは4つのプロジェクトを実施。 エチオピア北部のMetemma地域(アムハラ州)でのDeveloping rural resilience and restoring landプロジェクトでは、乳香木を含む乾燥耐性の高い在来樹種11.6万本の苗木を育成し、森林全体に植栽した。2023年から2024年にかけてエチオピア西部のガンベラ州で実施したSustainable Sheaプロジェクトでは、12,474人の人々が4.7万本の木を育てるのを支援した。https://www.treeaid.org/blogs-updates/future-forest-project-update/アムハラ州、オロミア州、ガンベラ州
Horn of Africa Regional Environment Centre and Network (HoA-REC&N)アディスアベバ大学を中核として活動するエチオピアの環境保護団体。エチオピア、スーダン、ジブチ、ケニア、ソマリア、エリトリアを含むアフリカの角地域における環境ガバナンスと管理の改善に取り組むとともに、東アフリカ植林・再植林・再緑化プログラム(EARRP)を展開している。エチオピア国内では、エチオピア全土を対象として森林保全や植林プロジェクトを実施している。 最初のプロジェクトとしてエチオピアで実施されたジャマ・ウルジ農民管理林業プロジェクトは4,869haの面積を対象とし、農民管理型天然更新(FMNR)と植生回復植林の2つの手法を用いて劣化した土地の回復に取り組んでいる。このプロジェクトはVerraレジストリに登録され(VCSID 1443)、その年間推定排出削減量はCO2換算で1.9万tが見込まれている。https://registry.verra.org/app/projectDetail/VCS/1443エチオピア全土
EthioTrees Ecosystem Restoration Association (EthioTree)Dogu’a Tembien地域(ティグレ州)の環境再生と森林地帯の復元を目的として2016年に設立されたエチオピアの国内の非営利団体。持続可能な生活と環境保護を推進している。生態系の改善と炭素固定の促進を目的として、放牧地からの除外地(放牧から保護された土地)を管理しながら森林再生を促進。2018年には、18の除外地(計1,500ha超)を管理していた。 https://en.wikipedia.org/wiki/EthioTreesDogu’a Tembien地域(ティグレ州)
表12 エチオピアでの民間企業・NGOによる植林活動例

森林分野の炭素クレジットプロジェクト

VCSへの取組状況

エチオピアにおけるVCS(Verified Carbon Standard)の森林プロジェクト(植林・REDD)の取組み状況を表13に示す。2025年3月現在で5件のプロジェクトの申請が行われ、手続きが完了して正式に登録されているものが1件、手続きが進行中のものが3件、申請が事務局によって却下されたもの1件が確認できる。VCSへの正式な登録が完了している1件が、他のプログラム(CCB)にも登録している。

プロジェクト名プロジェクトIDプロジェクト申請団体実施地域分野面積 ha状況
CATALYZING COMMUNITY RESILIENCE THROUGH CARBON FINANCE IN ETHIOPIAN AFROMONTANE FORESTS https://registry.verra.org/app/projectDetail/VCS/51915191Multiple ProponentsOromia and Sidama regionsARR12,120Under validation
ETHIOPIA AGROFORESTRY PROJECT ON SMALL-SCALE COFFEE PARCELS https://registry.verra.org/app/projectDetail/VCS/50545054The PURE PROJECT SASSidama regioARR4,400Under development
Restoration and Conservation of Dry Afromontane Forest in the Highlands of Eastern Tigray https://registry.verra.org/app/projectDetail/VCS/34293429WeForest ASBLTigray RegionARR30,000Under development
Bale Mountains Eco-region REDD+ project https://registry.verra.org/app/projectDetail/VCS/13401340Oromia Forest and Wildlife EnterpriseOromia regional stateREDD398,532Registered
East African Afforestation, Reforestation and Revegetation Program https://registry.verra.org/app/projectDetail/VCS/14431443Horn of Africa Regional Environment Center and Network (HoA-REC&N)Oromia RegionARR4,869Rejected by Administrator
表13 エチオピアにおけるVCS取り組み状況

植林に関する参考文献リスト

【参考文献】

【気象】

「Climate Change Knowledge Portal」(World Bank)https://climateknowledgeportal.worldbank.org/country/ethiopia

【政策・戦略】

「Environmental policy of Ethiopia」(エチオピア政府、1997)

https://www.moa.gov.et/wp-content/uploads/2024/07/Definition-of-Powers-and-Duties-of-the-Executive-Organs-Proclamation.pdf

Ethiopia REDD Strategy (2018-2030)」(環境・森林・気候変動委員会(Environment, Forest and Climate Change Commission (EFCCC)、2018.6)

https://www.moa.gov.et/wp-content/uploads/2024/07/Definition-of-Powers-and-Duties-of-the-Executive-Organs-Proclamation.pdf

「Ethiopian National Environmental Law Development and Enforcement Programme (2020-2030)」(環境・森林・気候変動委員会(Environment, Forest and Climate Change Commission (EFCCC)、2020)

https://www.moa.gov.et/wp-content/uploads/2024/07/Definition-of-Powers-and-Duties-of-the-Executive-Organs-Proclamation.pdf

「Forest Development, Conservation and Utilization Policy and Strategy (2007)」(農村開発省(Ministry of Agriculture and Rural Development)、2007)

https://www.moa.gov.et/wp-content/uploads/2024/07/Definition-of-Powers-and-Duties-of-the-Executive-Organs-Proclamation.pdf

「Forest Policy of Ethiopia from 1990 to2020: An Assessment of Contemporary Forest Management Approach and Its Impact on Local Livelihood」(Wondimagegn Mengist and Asaye Asfaw、2023) https://ojs.bonviewpress.com/index.php/GLCE/article/view/849/640

【関連法律】

「Forest Development, Conservation and Utilization Proclamation(森林法)」(農村開発省(Ministry of Agriculture and Rural Development)、2007)

https://www.moa.gov.et/wp-content/uploads/2024/07/Definition-of-Powers-and-Duties-of-the-Executive-Organs-Proclamation.pdf

「Environmental Impact Assessment Proclamation (Ethiopia)(環境影響評価法)」

https://www.moa.gov.et/wp-content/uploads/2024/07/Definition-of-Powers-and-Duties-of-the-Executive-Organs-Proclamation.pdf

「Definition of Powers and Duties of the Executive Organs Proclamation No. 1263/2021」(エチオピア政府、2021)(農業省(Ministry of Agriculture)の権限と職務を規定)

https://www.moa.gov.et/wp-content/uploads/2024/07/Definition-of-Powers-and-Duties-of-the-Executive-Organs-Proclamation.pdf

【植林可能性、必要性】

「National Potential and Priority Maps for Tree-Based Landscape Restoration In Ethiopia」(環境・森林・気候変動省(Ministry of Environment, Forest and Climate Change (MEFCC)、2018)

https://assets.forest-atlas.org/eth/documentation/MEFCC-Ethiopia-National-Landscape-Restoration_low-res.pdf

「Tree-Based Landscape Restoration Potential and Priority Maps: Sodo Guragie (SNNP Regional State), Ethiopia」(環境・森林・気候変動委員会(Environment, Forest and Climate Change Commission (EFCCC)、2019)

https://www.epa.gov.et/images/PDF/Restoration_Diagnostic/Sodo_Potential%20and%20Priority%20Maps%20Report.pdf

植林に関する参考資料リスト

【関連組織】

【その他関連法律】

【樹木関連】