
CO2以外も視える化
CO2以外の貢献と視える化アプローチの違い
途上国における森づくり活動の貢献として、現在CO2(温暖化ガスである二酸化炭素の固定)以外にも生物多様性の保全・回復や地域住民の生計向上などの便益に対する貢献が、これまで以上に重視されつつあります。CO2に関する貢献度には「量的に表現できる」 「地域が変わっても貢献度が変わらない」という特徴があるのに対し、生物多様性や地域住民便益に対する貢献度は、地域性が高く、単一の尺度だけでは評価できないという難しさがあります。加えて、CO2排出削減はそのまま全球的な目的達成と関連するのに対し、生物多様性や地域住民便益に関する活動は基本的には対象地域とその周辺に効果を与えるものとなります。
CO2 | 生物多様性・地域住民便益 |
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吸収量・固定量といった特定の尺度 量的に視える化可能 | 単一の尺度では視える化できない 量的なものだけでなく質的な内容も含む |
地域性がなくどこでも貢献度が変わらない どの地域の活動も全球的な吸収・削減に貢献 | 地域性が高く、対象地域の状況に応じて活動・評価が異なってくる 対象地域とその周辺の生物多様性・住民便益に貢献 |
生物多様性と地域住民便益
生物多様性や地域住民便益の貢献度を視える化するためには、対象地域の状況を把握した上で様々な要素を組み合わせてデータ収集・分析する必要があり、その透明性や信頼性をいかにして担保するかが重要になってきます。ここでは国際的な動向を参照して、森づくり活動による生物多様性の回復・保全や地域住民便益に対する貢献について、どのような手法で評価されているかを紹介します。生物多様性と地域住民便益は、CO2目的の活動であっても考慮しなければならない重要な要素ですが、特に生物多様性保全に関しては生物多様性クレジットなどそれ自体を目的とした議論もでているため、こうした流れも含めてそれぞれ紹介していきます。