生物多様性への貢献

生物多様性の評価に関する国際的な流れ

生物多様性の評価に向けた国際的な動き

1992年に生物多様性条約(CBD)が採択されてから、30年以上が経過しました。2010年のCOP10で採択された愛知目標は、2022年のCOP15で採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)に引き継がれ、国際的な生物多様性保全への取組が進められています。生物多様性評価に係る現在の国際的な動きとしては、GBFのもとで生物多様性モニタリングの枠組や計画、報告、レビューなどの政策的な検討が進められています。また、CBDを科学面からサポートする機関であるIPBESのもとで、モニタリングに関する科学的な方法論的評価が検討されています。このような国際的な枠組の下での政府や公的機関の活動が進展をみせる一方で、依然として進行する生物多様性の消失を止めるためには、民間企業の参画が不可欠であるという認識の下、民間企業の積極的なコミットメントを求める自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が発足し、また生物多様性クレジットを創出するボランタリー市場の動きも活発化してきました。

生物多様性の評価に関する国際的な枠組み

投資家・投資機関が自然環境にポジティブな企業へ投資するために、企業が自然関連の情報を開示するための国際的なスキームの開発が進んでいます。

日本でも、2023年に公表された自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosure: TNFD)や目標を設定するための自然SBTs(Science Based Targets for Nature)等による自主的な開示が進められています。

また、EUにおいては、EU法令の「企業サステナビリティ報告指令(CSRD)」のもと、サステナビリティ報告基準(ESRS:European Sustainability Reporting Standards)が2024年会計から段階的に適用されます。日本企業でEUに子会社を持つ企業で条件を満たす場合は対象になります。

また、こうした情報開示のスキームの他にも、企業や団体の環境プロジェクトが生物多様性に与えるポジティブな影響について評価・認証するプロジェクト認証(例:CCBSなど)や生物多様性回復・保全などに貢献するプロジェクトを評価・認証しその成果をクレジットとして発行する生物多様性クレジット(例:Verra SD VISta Nature Framework、Plan Vivo Natureなど)の開発がすすんでいます。木材が持続的に経営・管理された森林から生産されたことを証明するFSC®やPEFCといった国際的な森林認証の中でも生物多様性が重要な項目として挙げられています。

生物多様性の評価手法や評価ツールについて

 上述したような様々な国際的な枠組みでは、企業活動や個別の森林プロジェクトが生物多様性に与える正/負の影響を視える化するための方法論やツールの開発が進められています。

 こうした方法論やツール、視える化のための考え方などを整理したガイダンスなどについて、以下のページでご紹介していきます。