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熱帯早生樹による用材利用のための森林造成

2022年03月09日

キーワード

マレーシアサバ州、アカシア・ハイブリッド植林・保育、床材、産業植林

どんな記事?

アカシア・ハイブリッドという樹種があります。熱帯の植栽樹としてよく利用されているアカシア・マンギウムとアカシア・アウリカリフォルミスの自然交配種で、幹は通直・真円で強度や比重もマンギウムより優れています。マレーシアのサバ州森林開発公社の造林地森林火災跡地で発見され、JICAの専門家なども関わり、精英樹候補木の選抜や増殖が行われていました。

越井木材工業株式会社(越井木材)はこの材の性質を試験するとともに、特質が活かせる市場を調査し、トラック床材に着目し、その生産を目標とした造林プロジェクトを開始しました。商品にあわせて樹種を選択し、造林を行うという手順はあまり例がありません。
このプロジェクトの概要を吉田温氏と佐藤裕氏が報告しています。

アカシア・ハイブリッドは一代雑種なので、挿し木増殖で苗木生産に取組みましたが、発根が難しく試行錯誤を数年繰り返し、ようやく月間8万本の挿し木生産が可能となった苦労が述べられています。2005年から3年間で1000haを完了し、事業出資者も増え、最終的には5000haまで植林地を拡大する計画です。また、枝打ちが不可欠な樹種であり、合板用材として、直径9cm以上、材長最低7mを無節にするため、鹿児島大竹内侑雄教授の指導によるアカシア枝打ち方法が開発されました。また、目的とした用材の収穫量を予想するため、現場の状況を踏まえた密度管理に取組むなど、アカシア・ハイブリッド生産の体系化に取組んでいます。さらに現地NPOや大学との連携により生物多様性も考慮しながら、コスト面も含め持続可能な森林経営を目指す意気込みが語られています。

最近の越井木材の製品を見ると、トラック床材に加え、インテリア性のある内装材としてフローリングの製品も販売され、小中学校の施工例が紹介されています。

紹介記事

サバ州での用材生産を目指した熱帯早生樹植林-越井木材工業株式会社サバプロジェクト-
吉田温・佐藤裕(2008)海外の森林と林業 73: 13-18

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