食葉性害虫

食葉性害虫とは、葉を加害する害虫で、主にコウチュウ目、ハエ目、チョウ目及びハチ目が存在するが、特にチョウ目の種類が多い。被害は着葉量の減少として現れる。被害程度は樹種や害虫によって異なるが、おおよそ50~60%程度が失葉すると成長に影響を及ぼす。しかし、よほどの激しい被害や連年繰り返し被害を受けない限り樹木自体が枯死することはない。

被害の兆候

  • ・虫体の発見
  • ・葉量の減少
  • ・葉に残された食痕
  • ・絹糸でつくられた巣
  • ・樹冠下の地面に落ちた虫糞や死体
  • ・食害音
  • ・飛来鳥
  • ・クモの巣 等

チョウ目

チョウ目はチョウ及びガであり、その幼虫が樹木を加害する。幼虫は、一般にケムシ類、イモムシ類、アオムシ類、イラムシ類、シャクトリムシ類、ミノムシ類等と呼ばれている。

チョウ目の幼虫の特徴

胴部に小環節はない。擬脚は第2環節にはなく、普通は尾端の脚を含めて5対である。ただし例外として、シャクガ類やヤガ類の一部では擬脚の多くを欠く。

チョウ目の幼虫

チョウ目幼虫の生活様式

  • ・幼虫が単独で露出して生活するもの
  • ・絹糸でつくったテント内に群棲するもの
  • ・葉を撒いたり綴り合わせて生活するもの
  • ・ミノの中で生活するもの
  • ・葉の組織内に潜り込み、葉肉を食害し、表皮にミミズばれ状の食痕を残すもの注1

注1)潜葉性のハモグリガ類:美観を損ねる程度で被害としては問題にならない。

コウチュウ目

コウチュウ目のコガネムシ類は、幼虫が根切虫であり、成虫は主として夜間に葉を食害する。

コウチュウ目

<コウチュウ目の被害>

種類 幼虫 成虫
コガネムシ類 根切虫 主として夜間に葉を食害
チビタマムシ類 潜葉性
ハムシ類(重要害虫) 葉を食害 葉を食害
ゾウムシ類 葉を網目状に食害
(一部に潜葉性)
オトシブミ類 葉を巻きその中に産卵注2
(ゾウムシの近縁)

注2)被害としては問題にならない。

ハチ目

ハチ目では、原始的なハチの仲間であるハバチ類の幼虫が葉を食害するので、樹木害虫として重要である。普通のハチの成虫は腹の基部がくびれているが、ハバチ類やキバチ類ではくびれていない。幼虫はチョウ目の幼虫に似ているが、以下で区別できる。

ハチ目の幼虫の特徴

胴部の環節は小環節により細かく分かれている。擬脚(腹部)は腹部節の第2環節にもあり、普通は尾端の脚を含めて8対で、擬脚の裏には鉤爪がない。ただし例外として、ヒラタハバチ類では擬脚を欠く。

ハバチの幼虫

ハエ目

ハエ目には、ハモグリバエ類のような潜葉性の種類が存在するが、葉面の美観を損ねる程度で実害はほとんどない。

(以上、野淵1997)

参考資料

  • 野淵輝 (1995) 熱帯の森林害虫. 熱帯林造成技術テキストNo.7. 国際緑化推進センター