森林再生テクニカルノート(TPPs)は、途上国の劣化が進んだ森林や開発後に放棄され荒廃した土地等において、効果的な森林の再生に大きく貢献する技術集です。
食葉性害虫とは、葉を加害する害虫で、主にコウチュウ目、ハエ目、チョウ目及びハチ目が存在するが、特にチョウ目の種類が多い。被害は着葉量の減少として現れる。被害程度は樹種や害虫によって異なるが、おおよそ50~60%程度が失葉すると成長に影響を及ぼす。しかし、よほどの激しい被害や連年繰り返し被害を受けない限り樹木自体が枯死することはない。
チョウ目はチョウ及びガであり、その幼虫が樹木を加害する。幼虫は、一般にケムシ類、イモムシ類、アオムシ類、イラムシ類、シャクトリムシ類、ミノムシ類等と呼ばれている。
胴部に小環節はない。擬脚は第2環節にはなく、普通は尾端の脚を含めて5対である。ただし例外として、シャクガ類やヤガ類の一部では擬脚の多くを欠く。
注1)潜葉性のハモグリガ類:美観を損ねる程度で被害としては問題にならない。
コウチュウ目のコガネムシ類は、幼虫が根切虫であり、成虫は主として夜間に葉を食害する。
種類 | 幼虫 | 成虫 |
---|---|---|
コガネムシ類 | 根切虫 | 主として夜間に葉を食害 |
チビタマムシ類 | 潜葉性 | - |
ハムシ類(重要害虫) | 葉を食害 | 葉を食害 |
ゾウムシ類 | - | 葉を網目状に食害 |
(一部に潜葉性) | ||
オトシブミ類 | - | 葉を巻きその中に産卵注2 |
(ゾウムシの近縁) |
注2)被害としては問題にならない。
ハチ目では、原始的なハチの仲間であるハバチ類の幼虫が葉を食害するので、樹木害虫として重要である。普通のハチの成虫は腹の基部がくびれているが、ハバチ類やキバチ類ではくびれていない。幼虫はチョウ目の幼虫に似ているが、以下で区別できる。
胴部の環節は小環節により細かく分かれている。擬脚(腹部)は腹部節の第2環節にもあり、普通は尾端の脚を含めて8対で、擬脚の裏には鉤爪がない。ただし例外として、ヒラタハバチ類では擬脚を欠く。
ハエ目には、ハモグリバエ類のような潜葉性の種類が存在するが、葉面の美観を損ねる程度で実害はほとんどない。
(以上、野淵1997)