森林再生テクニカルノート(TPPs)は、途上国の劣化が進んだ森林や開発後に放棄され荒廃した土地等において、効果的な森林の再生に大きく貢献する技術集です。
林野火災にあたって、速やかな消火及び消火活動の強化を目的として、火を意図的につけて消火を図る方法がある。ただし、この火を使った消火方法は、延焼拡大の危険性が高いので、地形、気象条件(風向き、風速)及び火の進行方向等を判断する技術及び消火隊員相互の協力が必須であり、通常の消火方法では対応できない状況において、最終的手段として使用されることが推奨される(Fire Paradox)。
火を用いた消火のタイプと方法には以下の3種類がある(Fire Paradox)。
林野火災の進行方向の可燃物の焼却、又は、火の進行方向を変えることを目的として、火の進行方向に防火帯を設置して、防火帯に沿って火をつけ、火を迎え撃つ方法。
林野火災時に、防火帯の可燃物の焼却を目的として、防火帯の内側に火をつける方法。
バック・ファイア(迎え火)の拡大を促進するために、林野火災の火の最前線と迎え火の間にさらに火をつける方法。
大規模火災が発生し、消火隊の消火能力を超え通常の消火方法では消火不能と判断された場合、火を用いた消火方法が選択される。20世紀の後半、ポルトガル、スペイン及びギリシャにおいて、大規模火災の境界において、バーン・アウトやバック・ファイア等の火を用いた消火方法が実践された。これには、地形、可燃物の量、風向き及び風速を考慮して、点火線上の火の拡大をコンロトールする熟練した技術が必要とされる(Montiel and Kraus 2010)。
日本においても、霧ヶ峰高原では、1960年以前の採草利用が行われていた頃、よい草を採り、草を刈りやすくするため火入れがなされた。火入れは、先に焼いてはいけない場所との境を焼いてから松明で火を付ける方法で行われた。その消火にあたっては、松の枝などで叩き、大きな火へは迎え火を用いる方法で行われた(長野県環境保全研究所 2006)。