消火活動

消火活動の発想・着眼点

林野火災の消火にあたっては、火災が拡大しないように水をかけたり、叩いたり、又は、可燃物を除去する等して消火する。防火帯を超えて飛び火が発生した場合には早く発見して初期消火を行う(森林火災対策協会 2012)。事前に、森林・植林地の地形図及び樹種分布図を作成し、防火帯、水源及びアクセスを確保しておくとともに、消火器具を準備しておく必要がある(Jade Leask and Ralph Smith 2011)。

林野火災の特徴

林野火災の場合、風下に向かう火や斜面を燃え上がる火はスピードが速くて危険が高い。風上に燃え広がる火や斜面を燃え下る火はスピードが遅いことから危険は小さい(森林火災対策協会 2012)。

草原の延焼速度は風速と相対湿度(可燃物の乾燥度合い)に大きく影響される。また、山の影響で複雑な局地風が起きるために火が拡大する過程で延焼方向が急に山頂方向に拡大することがある(森林火災対策協会 2012)。したがって、消火にあたっては、火に巻き込まれないよう細心の注意が必要である。

消火のタイプと方法

地上における林野火災の防御方法には、注水による防御、叩き消し、土掛けによる防御、防火線による防御、迎え火による防御の方法がある。火災の規模、水利の方法、植生の状況、地形等を考慮して、最も効果的な方法で対処しなければならない(串間市 2017)。

(1)冷却消火

燃焼物に水をかけて熱エネルギーを消費させ燃焼を停止させる。背負い式消火器(ジェットシューター)、並びに、動力噴霧器(消火用ポンプ)、タンク及びホース等を使用して、火に水をかけて消火する。

図1. 放水ホースを用いた消火活動

(2)窒息消火

火災の酸素(空気)を絶つために、火消し棒等を用いて、火を叩いて消火する。ただし、火叩き消火を無雑作に行うと火の粉が周囲に飛散し、火を拡大させることがあるので注意を要する。

(3)破壊消火

クワ、スコップ及び重機等を用いて、火災周辺の可燃物を除去することにより鎮火する。

図2. クワを用いた可燃物の除去

安全管理及び緊急時の対応

(1)安全管理

  • 消火は、危険と隣り合わせの作業であることを常に意識する。
  • 消火にあたっては、地形及び風向きを考慮し、緊急時に非難する方向を常に考えておく。
  • 消火が手に負えないと判断したら直ちに避難する。
  • 傾斜地では上からの落石や落木に注意する。
  • 傾斜地の上の方で作業している場合には下のほうからの炎の吹き上げに注意する。
  • 風向きを考慮して、防火帯を除いて延焼の恐れのある箇所には入り込まない。
  • (森林火災対策協会 2012)

(2)緊急時の対応

  • 危険を察知したら大声や携帯無線で伝える。
  • 非難方向は、火勢の弱い方向、または燃え尽きた場所を選ぶ。
  • 火が斜面を上ってくるときは、非難する方向は斜面の側方とする。
  • ぬれタオル等で口や鼻を覆って姿勢を低くして、煙や熱気を直接吸わない。
  • 煙に包まれたときは、新鮮な冷たい風が吹いてくる方向に非難する。
  • 非難に負担となる器材は、後続の人の障害とならない場所に放置する。
  • 一次避難場所として焼け跡が利用できないか考慮する。
  • (森林火災対策協会 2012)

引用文献

  1. Leask J and Smith R (2011) Guidelines for Plantation Fire Protection. Bush Fire and Environmental Protection Branch. Fire and Emergency Services Authority, Western Australia. 32pp.
  2. 森林火災対策協会 (2012) 作業従事者向け火入れ作業の手引き. 8pp.
  3. 串間市 (2017閲覧)第11編林野火災対策編. 串間市地域防災計画. 18pp.