実証試験近況報告

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長根苗@ミャンマー By JIFPRO

長根苗とは

  • 長根苗とは、通常よりも深めの容器で育てた苗のことを指します。
  • 深めの容器で育苗することで長い根鉢を持った苗が形成されます。
  • 土壌深部は表層からの蒸発が防げるので乾季でも水分がある程度残っていることが多いです。
  • 植えた時の根のスタート地点がより深い長根苗は、植栽後いち早く土壌深部に到達できるので、厳しい乾季を乗り越えられるだろうということで、その実証試験を行っています。
長根苗試験の考え方
長根苗試験の考え方
長根苗植栽の様子
長根苗植栽の様子

長根苗技術の実用化に向けて工夫した点

長根苗自体は地中海性気候の乾燥地を中心に検討されてきました。
しかし、従来の長根苗の容器は長いため、容器から苗を取り出しにくい、容器の容積が大きく土壌培地では重すぎる、深い植栽穴が掘りにくい等の理由で、広く普及していないのが現状です。

本試験では、3つの既存の技術をうまく組み合わせることで、実用的な長根苗を作ることを目指しました。

  1. まず、宮崎県が開発し、日本ではスギ等の育苗に用いられているM-StARを長根苗用の容器に使用しました。M-StARはシートを丸めただけの構造なので、シートのサイズを変えれば、様々な深さ(本試験の長根苗は深さ60cm)、径のコンテナ容器ができます。しかも、植栽時にはそのシートを広げるだけなので根を傷めることなく取り出せることができます。
  2. 次に、育苗培地としてココヤシのヤシ殻を粉砕したココナッツピートを使用しました。ココナッツピートは、土に比べて非常に軽く、通気性や保水性にも優れており、世界中で苗木生産の培地として使われています。ミャンマーはココヤシ生産地なので、ヤシ殻繊維のロープ工場等にいけば簡単に安価で購入することができますが、今までほとんど使われていませんでした 。
  3. 最後に、深さ70㎝程の細長い植栽穴をエンジンオーガーを掘削しました。ミャンマーでは中国製のエンジンオーガーが1万円/台程度で購入することができました。ミャンマーの人件費がいくや安いと言っても、1,000以上の深い穴をエンジンオーガーなしで掘削するには1万円以上の労賃がかかるので、たくさん植える場合はエンジンオーガーの方がコストが抑えられます。
試験フロー
3つの技術をミックスして実用的な長根苗を生産しました
従来の長根苗
従来の長根苗

関連資料

  1. 長根苗技術概要紹介
  2. ミャンマーとケニアでの長根苗技術の取り組み:オンラインセミナー説明資料

各技術ページ