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機械的防除法

捕殺法

素手あるいは器具をもちいて害虫をとらえ殺す方法で一見非科学的であるが、種類によって、また発生状況によっては最適であることが少くない。大型の成虫、幼虫の捕殺はもちろんであるが、卵塊状に産卵するドクガ科、カレハガ科など、群棲する幼虫を巣ごとあるいは枝葉ごと除去する。枝葉に群棲するアブラムシ、カイガラムシをすり潰すことも容易である。毒毛を持ち群棲するケムシには棒の先にアルコールや石油を滲み込ませたボロ布に火をつけ焼殺するとかぶれることなく駆除できる。

刺殺法

コウモリガなどの穿孔虫の穿入孔から針金などを刺し込み刺殺する。被害木が少なく単木処理できるときには有効である。

打落法

ケムシ、シャクトリムシ、コガネムシ成虫などに急激に木を叩くと落下するので、落下虫を踏み殺す。

誘殺法

夜間灯火に飛来する害虫を誘殺する方法は古くから実施されている。最近は青色蛍光灯やブラックライトの光源の周囲の格子に微弱高圧電流を流し、飛来した昆虫を感電死させる電撃殺虫器なども市販されている。餌木誘引法は穿孔虫を集めるために伐採丸太を餌木にして誘引穿孔させて焼却する方法が実施されてきた。餌木に殺虫剤を散布し飛来虫を誘殺する毒餌木法もある。ヘロモン、カイロモンなどの化学物質をもちいた誘引器がある。松くい虫用誘引器は市販され実用に使われている。誘引器には追突板に当たった虫が落下し物理的には捕獲できるもの、粘着板を用いるものがあり、また誘引器と設置場所周辺の木に殺虫剤を散布し、近くに飛来した虫を殺虫する試験も試みられている。

潜伏場所を人為的につくり誘致誘殺する方法は虫の習性を巧に利用したもので、日本では、マツカレハの越冬場所として秋にマツ樹幹に藁を巻き、冬期中にはずし潜んでいる虫もろとも焼却する。また、スギカミキリの成虫がスギの樹皮の割れ目に潜む習性を利用して、樹幹に粘着物質や薬剤をつけた紙バンドを樹幹に巻きつけ、その中に入ってくる成虫を捕殺する。

遮断法

ビニール、粘着物などを樹幹へ環状につけ、樹上に這いあがるのを妨ぐ。他に袋、網、障壁、明溝なども遮断物に用いられる。

参考文献

  • 野淵輝 (1995) 熱帯の森林害虫. 熱帯林造成技術テキストNo.7. 国際緑化推進センター.