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炭素クレジット植林の仕組みについて知る⑥

炭素クレジット市場では、発行量(供給)と購入量(需要)の変化が市場動向を左右します。本ページでは、近年のボランタリー炭素市場における需要と供給の状況、今後の需要予測、さらに航空分野や日本国内制度による需要拡大の見通しについて紹介します。


近年のボランタリー炭素市場では、発行量・償却量ともに減少傾向にあります。2025年はどちらも2021年以降では最も低い水準となり、特に再生可能エネルギープロジェクトの減少が発行量低下の主な要因とされています。一方で、発行量と償却量は近い水準で推移しており、高品質クレジットでは需要が供給を上回る構造が指摘されています。また、償却量は減少したものの、平均価格の上昇により市場総額は10.4億ドルに増加しています。

図6-1 ボランタリー炭素クレジットの発行量と償却量(総計)
出典)Sylvera The State of Carbon Credits, 2025

購入者の選好やプロジェクト評価の変化に伴い、発行・償却されるクレジットの構成にも変化が見られています。近年は、REDD+の割合が減少し、IFM(森林管理)やARR(植林・再植林)の割合が高まる傾向にあります。また、再生可能エネルギープロジェクトの割合は減少しており、その分を廃棄物・産業・家畜部門の排出削減プロジェクトが補っています。

図6-2 ボランタリー炭素クレジットの発行量と償却量(プロジェクトタイプ別割合)
出典)Sylvera The State of Carbon credits, 2025

【ポイント】

  • 発行量・償却量は近年減少傾向にある
  • 高品質クレジットでは需要超過の可能性が示されている
  • ARR・IFMの割合が増加している
  • 再生可能エネルギー由来クレジットは減少している

2027年以降、コンプライアンス需要が自主的需要を上回る構造へ移行するという予測があります。国際民間航空機関(ICAO)が運営する国際航空向けカーボンオフセット制度(CORSIA)の義務化や各国の排出量取引制度の拡大により、2030年代には国内制度が主要な需要源となる見通しです。また、中国やブラジルなどで制度整備が進んでおり、コンプライアンス市場の拡大が期待されています。

図6-3 炭素クレジットの需要予測(規制・ボランタリー別)
出典)Sylvera The State of Carbon Credits, 2025

さらに、パリ協定第6条の実装が進むことで、国際的なクレジット移転市場の拡大が期待されています。一方で、品質が市場形成の前提条件となり、将来的にはクレジットの品質差が独立した価値を持つ可能性もあります。

【ポイント】

  • 2027年以降はコンプライアンス需要が主流になると予測
  • 国内制度や国際制度が需要拡大を牽引する見込み
  • 第6条の実装により国際移転市場の拡大が期待される
  • クレジット品質の重要性がさらに高まる

CORSIAは、ICAOが運営する国際航空向けのカーボンオフセット制度です。CORSIAで利用されるクレジットは、パリ協定第6条における「他の国際的緩和目的」として承認されたITMOsである必要があります。

図6-4 CORSIA適格クレジット(EEUs)の需要と供給の将来予測
出典)IATA Sustainability and Economics from September 2023

上図によるとCORSIA適格クレジットへの需要は今後大幅に増加すると予測されています。また、2027年頃には1tCO₂当たり25〜36USドルへ価格上昇し、CORSIA第1フェーズの市場規模は18〜52億ドルに達する可能性が示されています。

【ポイント】

  • CORSIAは国際航空分野の主要需要源となる可能性がある
  • 利用できるクレジットはITMOsに限定される
  • 需要増加と価格上昇が予測されている

日本のGX-ETS第2フェーズでは、事業者がオフセットに利用できるクレジット量が年間排出量の10%に制限されています。一方で、制度全体では年間287万トン以上の需要が見込まれているとされています。2025年時点では、GX-ETSで利用可能なクレジットはJ-クレジットとJCMに限定されており、供給量との間に大きな需給ギャップが生じる可能性が指摘されています。また、報告書では、2026年度のGX-ETS排出枠価格は1,700〜4,300円/tCO₂e、2030年度は1,913〜4,840円/tCO₂eと設定・議論されていることが紹介されています。

【ポイント】

  • GX-ETSでは年間287万トン以上の需要が見込まれている
  • 利用可能なクレジット供給量は限定的
  • J-クレジットとJCMが主要な対象
  • 需給ギャップの発生が懸念されている