
規制ベース(コンプライアンス)と自主ベース(ボランタリー)の関係性
世界の気候変動対策は、UNFCCC(国連気候変動枠組条約)を基盤として進められています。その中で、各国が排出削減目標(NDC)を達成するための規制ベース(コンプライアンス)市場と、企業などが自主的に活用する自主ベース(ボランタリー)市場が発展してきました。近年は、パリ協定第6条の本格運用が進み、これまで別々に発展してきた両市場の連携が強まりつつあります。
パリ協定第6条も本格運用
2024年のCOP29では、パリ協定第6条に関するルールブックが最終的に整備されました。
第6条では、国際的な協力によって排出削減を進めるために、次の3つの仕組みが定められています。
- 第6条2項:協力的アプローチ(ITMOs)
- 第6条4項:国連メカニズム(PACM)
- 第6条8項:非市場アプローチ(NMA)
これにより、国際的な炭素クレジット取引の透明性や信頼性の向上が期待されています。

広がる炭素市場
炭素市場は国際制度だけでなく、地域や国、業界ごとにも整備が進んでいます。近年はアジア諸国でも制度導入が進み、炭素市場の相互接続が強まりつつあります。

図2-1 域内・国内の規制と排出量(炭素クレジット)取引制度
出典)ICAP (2025) Emissions Trading Worldwide: Status Report 2025
コンプライアンス市場とボランタリー市場の接続
従来、コンプライアンス市場とボランタリー市場は異なる目的で運営されてきました。
- コンプライアンス市場 : 国や地域の排出削減目標達成
- ボランタリー市場 : 企業の自主的な脱炭素目標達成
しかし近年は、MRV(測定・報告・検証)や追加性、透明性など共通の品質基準が重視されるようになり、両市場の接続が進んでいます。特に、国際炭素市場の整備により、ボランタリークレジットが将来的にコンプライアンス用途へ活用される可能性も高まりつつあります。
表2-1 気候変動対策としての国際制度・地域・国別制度とボランタリー炭素クレジットプログラム
出典)国際緑化センター(2026)


図2-2 国際制度・地域・国別制度とボランタリー炭素クレジットプログラム
出典)国際緑化センター(2026)

