ミストキャッチャー

ミストキャッチャーの発想・着眼点

乾燥地であっても沿岸部では海霧が発生しやすい地域がある。海霧を集めて乾燥地の植林に利用しようというものである。山岳地の雲霧帯でも適用可能である。Fog harvestingともいわれる。比較的簡単な装置でコストも安い。

ミストキャッチャーの発想・着眼点

適用地域

沿岸部で気象条件、地形条件から海霧が発生しやすい乾燥地域で利用実績がある。例えば、チリ、ペルー、エクアドル、南アフリカ、アンゴラ、ナミビア、イエメン、ケニア、オマーン、スリランカ、中国などである。霧が定常的に発生する山岳地の雲霧帯でも適用可能である。

装置の仕様等

寒冷紗や化学繊維のネットを霧の侵入する方向に広げ、霧を集める。ネットの下に集水パイプを置き、集まった霧を受け、タンクに集めたり、植林した苗木に注いだりする。ネットを二重にすることもある。ネットの大きさや間隔は現場に応じた工夫が必要である。長いネットを張る場合、霧が回るように4m程度の間隔をあける。

適用立地、メリット・デメリット

立地条件としては、霧発生時の風向きが比較的一定な土地が理想。風上数キロは遮るものがない場所。沿岸部では内陸が日中高温になり海風が吹くような地域。例えば、南太平洋東部の高気圧帯で発生した南西風がチリの北部に通年吹くような地域で、海岸にそって霧を遮る山地があるような場所。雲の下から2/3程度の高さが水蒸気密度が最高といわれる。

  • メリット:装置や維持が簡便で、特殊な器具や技術が不要で、得られた水は比較的清浄である。特殊な装置や技術が不要。
  • デメリット:気象によって水の採取量が左右され、予測しにくい。場所や環境条件に左右される。遠隔地では資材の搬入が困難なことがある。霧の発生は季節性があるので、利用できない期間がある。強風や雪で装置が倒れることがある。

適用例

生活用水や農業用水確保のために実施される場合が多く、植林事例は少ない。

  1. 1990年頃、カナダのNPO団体がオマーンの山地で生活用水確保のための試験を行った。ネット1m2あたり、1日30L程度採取できた。ただし集水期間が2か月程度であり生活水確保には足なかった。ただし、集水した水で森林造成を行うと水源涵養を高める効果があるので、山裾の住民の水需要にも貢献できるとしている。
    参考:FogQuest
  2. 乾燥地では生活用水の確保が優先されるが、集水装置はマスコミでは取り上げられているので、画像で装置の様子が確認できる。
    南米、ペルー、マリにおける飲用水や農業用水の確保事例
    BBC:The fog catcher who brings water to the poor
  3. アフリカ、モロッコの南西部の生活用水確保事例
    CNN:Desert ‘fog catchers’ make water out of thin air
  4. スペイン西部バレンシア地方の植林事例
    Valiente, J. A., Estrela, M. J., Corell, D., Fuentes, D., Valdecantos, A., & Baeza, M. J. (2011). Fog water collection and reforestation at a mountain location in a western Mediterranean basin region: Air-mass origins and synoptic analysis. Erdkunde, 277-290.
    Estrela, M. J., Valiente, J. A., Corell, D., Fuentes, D., & Valdecantos, A. (2009). Prospective use of collected fog water in the restoration of degraded burned areas under dry Mediterranean conditions. Agricultural and forest meteorology, 149(11), 1896-1906.