森林再生テクニカルノート(TPPs)は、途上国の劣化が進んだ森林や開発後に放棄され荒廃した土地等において、効果的な森林の再生に大きく貢献する技術集です。
紙おむつなどに使われる超吸水性高分子材を保水材として利用し、苗木の根をSAP溶液に浸し、根の乾燥を防ぐ。これにより植え付け時のストレスを緩和し、活着率の向上や初期の成長を促すことを期待するものである。ふつう裸苗で利用されるが、コンテナ苗でも使われることがある。
超吸水性高分子の性状等は本データベースの技術名【超吸水性高分子材(植栽時)】を参照のこと。
SAPを水に溶いたゲル溶液に根を浸し、根にゲルをまとわせることにより、植栽前の根の乾燥を防ぐ。アメリカでは裸苗の植栽にあたり、根を粘土を溶いた泥水に浸す処理が行われることがあった。泥水に代わりSAP液に浸す処理である。各地で試験が行われた結果をレビューしたところ、製品や環境条件によって結果はさまざまであったという1)。一方、スロバキアで人為的に乾燥にさらす試験をしたところ、SAP液に浸した苗は5時間の乾燥にさらしても活着し、SAP液の浸漬は活着率の向上と初期成長の促進効果があったという報告もある2)。砂採掘跡のせき悪地で実証試験が行われ、以下のような結果を得ている3)
日本では高知県香美市の株式会社サンテクノがSAPを使った「ウォーターキープ」という製品を販売している。この液に苗木の根元部分を2~3秒浸して保水材を付着させて植え付けする。その結果、93%の活着率が98%に向上し、苗木の成長開始時期が1月早まり、その分、成長がよかったとしている4)。島根県のコンテナ苗の手引書によると、根がまとまり扱いやすいという5)。
SAP溶液が根にまとわりつく程度の粘度に調整する。通常は1%以下である。SAP粒子は粒径の小さな製品(0.2-0.3mm)がよいという指摘がある2)。