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集水工法・テラス工法

テラス工法の発想・着眼点

降水量が少なく環境の厳しい地域で雨水を集水するため、広い面積に対してテラス状の集水域を作る工法である。マイクロキャッチメントに対してマクロキャッチメントと区分されることもある。普通、乾燥地の農業の基盤整備として重機などの機械力で行われることが多いが、果樹を含む木本にも適用可能である。気象条件とともに、地形に合わせた工法の改良や工夫がなされ、各種工法名しゃで呼ばれることがある。

中国内モンゴル自治区におけるテラス工法

テラス工法の基本的な工法や形状

土壌の表層を耕うんし、緩斜面の等高線に沿って畝(うね、contour ridge)立てを行い、畝の上側を少し下げてテラスにし、そのテラスの畝寄りに苗木を植える。畝の幅、間隔は雨量や傾斜によって加減され、雨量の少ないところや緩い傾斜では、幅・間隔とも広くする。トレンチや石組みを組み合わせることもある。農地として利用される例を中心として各種工法の特徴や管理について解説した国際乾燥地農業研究センター(ICARDA)の冊子(1) FAOがまとめた報告書(2) が参考となる。農地と併用される場合は、小規模なダムと灌漑を組み合わせることがある。

テラス工法利用上の注意

規模が大きいので、平均的な降水量、土壌への浸透能評価、土壌の保水容量の見積もりは十分精査して設計する必要がある。集水量が過剰になると土壌のエロージョンが拡大し事業の失敗につながる。また、運用後のテラスの維持や管理のための技術や経験、コストが必要である。なお、事業面積が大きいので、既存の土地利用との調和や地域の合意形成が必要なことがある。

引用文献

1) Oweis, T., D. Prinz and A. Hachum. 2001. Water Harvesting: Indigenous Knowledge for the Future of the Drier Environments. ICARDA, Aleppo, Syria. 40 pages. http://www.icarda.org/wli/pdfs/Books/Water_harvest_En.pdf

2) Critchley, W ほか 1991 A Manual for the Design and Construction of Water Harvesting Schemes for Plant Production. Rome FAO. http://www.fao.org/docrep/U3160E/u3160e00.htm