森林再生テクニカルノート(TPPs)は、途上国の劣化が進んだ森林や開発後に放棄され荒廃した土地等において、効果的な森林の再生に大きく貢献する技術集です。
取り木とは、植物の人工的繁殖方法の1つであり、親植物の茎の途中から根を出させ、そこで切り取ることで新たな株を得る方法である。取り木は、挿し木ができない樹種に用いられる。取り木手法には、シンプル、フレンチ、空中、マウンドの4種類が主に使用されている。さらに、ドロップおよびスタックという取り木手法もある(Wilkinson et al. 2014)。
シンプルな取り木手法は、毎年多くの萌芽枝をだす種に使用される。長い萌芽枝を「U」字型にして、U字型の茎の底は鋭利なナイフで皮を剥離する。そして、U字型の茎の底を土壌、おがくず、または他の有機マルチで土中に埋め、ペグで固定し、先端15〜23cmを地上に出す。十分な根系が形成された後、親植物から切り離し新しい株とする。
フレンチ取り木は、シンプル取り木に似ているが、長い単一の枝を土壌表面にペグで固定する。ある期間が経過すると、ペグを取り除き、枝を溝に入れて、土壌とおがくずまたはマルチを用いて土中に埋める。繰り返し土をかけた後、茎に沿った各株は2年目までに根を形成する。その時点で、元の植物から切り離すことができる。
空中取り木は、比較的大きなサイズの苗木を生産するのに有用である。空中取り木の利点は、根を出した新たな株が親植物と年齢が生理学的に似ており、したがって苗木や挿し木よりも早く花を開き、果実が稔ることである。
空中取り木は主に熱帯果実種(例えばライチ)に使用され、希少種と絶滅危惧種の繁殖に使われる。最適な発根のためには、前年枝または当年の中期から後期にかけて生産された枝上に空中取り木がなされる。木本植物の場合、鉛筆の直径以上の茎が最適であり、通常、先端から約30 cm程度の節の直下に処理される。枝上の葉や小枝は、この処理箇所の上下7~10 cm離される。空中取り木の手法は単子葉植物と双子葉植物で異なる。
マウンド取り木には、若い植物を選択し、まず、地上から5~10cmで幹をカットする。その次の生育期に出てくる多くの萌芽枝を、土壌、おがくず、または他の有機マルチで、その高さの半分程度まで覆う。芽が成長するにつれてこの手順を3回繰り返すと、第2または第3の生育期の終わりまでによく発根し、株分けして植栽する準備が整う。