森林再生テクニカルノート(TPPs)は、途上国の劣化が進んだ森林や開発後に放棄され荒廃した土地等において、効果的な森林の再生に大きく貢献する技術集です。
熱帯・亜熱帯における苗畑の規模・施設は千差万別で、一般的な基準を述べることは難しいが、実際の造成にあたっては、予算を考えながら、必要度の高いものから順次整備してゆくとよい(浅川 1992)。
苗木の生育サイクルに応じて、必要な保育施設と資源が、適切な時期に利用可能であることが設備設計の目標である。苗畑のレイアウトは、各シーズンに栽培されるすべての樹種に対して、適切な成長要件(気温、太陽光)およびその他の栽培要件(施肥、給水、またはその他の処理)が効果的に提供されるように計画される。例えば、早成樹と成長の遅い樹種は、グループ化して苗畑の別々の場所で育苗することができる(Wilkinson et al. 2014)。
利用可能な面積に対して、各種施設の配置を決めて図面を作成する(図1)。村落林業で造成される場合は、家畜や野生獣の侵入防ぐための垣根を設置しただけのものが普通である。
小規模苗畑では草葺きの小屋だけしかないものも多いが、すこし規模の大きい固定苗畑になると、材料こそいろいろであるが、以下の通り、各種の建物が造られる。
苗畑管理の拠点であり、草葺きの小屋にしろ、何らかの形で必要である。小規模の場合には、これが倉庫にも種子保管場所にもなる。
屋根は付けるが、普通には吹き抜けのことが多い。ポット用土を置き、ポットへの土詰めを行う施設である。用土が雨で濡れると作業ができないので、ポット育苗を適時に行うには不可欠の施設である。
屋根はガラスで周囲は網張りとすることが多く、風の強いところでは風を受ける面は塞いでいる。補助苗畑などでガラスの入手が困難な場合には、屋根は草葺きとすることが多い。この場合、光不足で芽生えがとちょうしがちなので注意が必要である。アリ等の被害を防ぐために、腰高の棚に播き付け箱を並べて種子を播くことも多い。
管理用の建物に併設することが多い。
屋根なしのものも多い。
倉庫の一部を利用することが多い。
ポッティング・ハウスと併設することが多い。
貯水槽と配管、スプリンクラー等。
雨水を集める配管と水槽または水瓶
一輪車、トウグワ、スコップ、ジョロ、フォーク、レーキ、高枝切り、移植ゴテ、噴霧器、篩各種(用土調整用、種子調整用)、その他の小道具類
厚さ1~2cmの板の約30cm×40cm×10cm(深さ)の箱、底面に水切り用の穴をあけ、砂質壌土・砂を詰める