先行火入れ

先行火入れの発想・着眼点

植林地を火災被害から守るために、草等の可燃物の取り扱いは非常に重要である。乾季の初めに、植林地に人為的に火入れを行うことにより、草等の地表の可燃物を焼却除去することで、山火事のリスクを低減することができる(Huong 2007)。

ただし、火を使うことに対して抵抗、否定的な見解もある(Montiel and Kraus 2010)。対象可燃物、地形、気象条件、風向き及び火の進行方向等を考慮して、適切な先行火入れ技術を用いるべきである(ISU 2012、TDA 2002)。

先行火入れのタイプと方法

先行火入れの方法として、全面火入れと列状火入れが挙げられる(Huong 2007)。

(1)全面先行火入れ

植林地の全面に管理火入れを行う方式。

  • 植林地全面の下草を刈り、含水率13-15%まで乾燥させる。
  • 燃やす区域の外側に防火帯を設置する。
  • 防火資材を使用して植林木を守る。
  • 植林木を守るために枝打ちを実施するとともに、火の通り道を確保する。
  • 適切な時を選んで燃やす。
図1. 全面先行火入れ

(2)列状先行火入れ

植栽列間(3m幅)のみに管理火入れを行う方式。草等の可燃物を列間に集めて、燃やし易くするとともに、植林木への悪影響を減らす。

  • 植林地全面又は3/4の下草を刈る。
  • 植林木の根元近くの枝打ちを実施する。
  • 草及び枝を植栽列間に集める。
  • 適切な時を選んで燃やす。
図2. 列状先行火入れ

適用例

インドネシアの南スマトラ州の産業植林地において、下刈・乾燥させた地表植生を人為的に焼く先行火入れの実験が行われた。その結果、先行火入れは堆積有機物量の85~90%を軽減し、山火事の浸入及び浸入した際の被害を軽減することが確かめられた(Saharjo 1999)。

引用文献

  1. Huong LV (2007), Fuel Assessment and Fire Prevention in Pine Plantations during the Tending Stage in Dalat, Lam Dong Province, Vietnam, International Forest Fire News (IFFN), No. 36, January – July 2007 : 76-86.
  2. Iowa State University (2012) Considerations for Prescribed Burning: Ignition Techniques. 4pp.
  3. Montiel C and Kraus D ed. (2010) Best Practices of Fire Use – Prescribed Burning and Suppression Fire Programmes in Selected Case-Study Regions in Europe. European Forest Institute. 169pp.
  4. Saharjo BH (1999) Study on forest fire prevention for fast-growing tree species Acacia mangium plantation in South Sumatra, Indonesia(インドネシア、南スマトラの早生樹種アカシア・マンギウム林の森林火災防除の研究). 京都大学博士論文の要旨
  5. Texas Department of Agriculture (2002) Chapter 8 Firing Techniques for Prescribed Burn Managers. TDA Prescribed Burn School Manual v1.3 5-2002. 18pp.