可燃物処理の発想・着眼点

植林地を火災被害から守るために、林床等の草等の可燃物の取り扱いは非常に重要である。植林地の可燃物を人為的に減少させることにより、山火事のリスクを低減することができる（Leask and Smith 2011）。植林地の可燃物処理により、火が入った場合でも、可燃物が少ないので、火の拡大スピードを抑えることができる（NRCS 2011）。ランドスケープレベルで、適切な規模を対象として、可燃物処理帯を戦略的に配置することが山火事被害の低減に重要である（Athanasiou 2017）。

可燃物の種類

植林地の地表の可燃物は以下のグループに分けられる（Huong 2007）。

• 刈り草
• 腐食有機物、泥炭及び油脂植物
• 生存草本及び潅木
• 萌芽植物
• 落木落枝
• 伐採後の林地残材（枝、木の先端及び切り株）
• 生存幼木

可燃物のタイプと方法

植林地及び防火帯の可燃物の量を、以下の方法により人為的に減少させることにより、山火事のリスクを低減することができる（Leask and Smith 2011）。

• 植栽列間の下刈り除草、積み上げ
• マルチング
• 林冠を閉鎖状態に保つことにより草本の繁茂を抑える
• 除草剤の散布
• 先行火入れ
• 植栽列間で耕作
• 植栽列間で放牧（植林木が大きくなった後）

適用例

ヨーロッパの地中海沿岸地域では、火災の危険性を減らすために、森林の可燃物は、森林バイオマスの利用（建設、調理、暖房、飼料用）や農耕によって除去される。 村落の周辺には多くの耕作地があり、森林の連続性を遮断し延焼防止効果がある（Athanasiou 2017）。除草されたブドウ園はグリーンベルトとして機能し、（図1A）、適切に管理されたオリーブ畑は可燃物除去の役割を果たす（図1B）

カリフォルニアでは、住居周辺の林等において、山火事のリスクを下げるために、可燃物処理が行われる（CA.GOV 2017）。可燃物処理が行われた後は、生存幼木が除去され、下層植生と上層木とが完全に分離され、たとえ地表火が入ったとしても、樹冠には火は伝わらず、樹冠火になる危険性は低くなる（図2A及びB）。

引用文献

1. Athanasiou M (2017 閲覧) Forest fires: management, characteristics and prediction.
2. https://eclass.uoa.gr/modules/document/file.php/GEOL312/Forest%20fires/McAgenda_MA_wildfires.pdf
3. California Government (2017閲覧) Fuel treatment. Environmental Protection Program. Resource Management Links.
4. http://www.calfire.ca.gov/resource_mgt/resource_mgt_EPRP_FuelsTreatment
5. Huong LV (2007), Fuel Assessment and Fire Prevention in Pine Plantations during the Tending Stage in Dalat, Lam Dong Province, Vietnam in “International Forest Fire News (IFFN),” No. 36, January – July 2007 : 76-86.
6. http://www.fire.uni-freiburg.de/iffn/iffn_36/17-IFFN-36-Viet-Nam-6.pdf
7. Leask J and Smith R (2011) Guidelines for Plantation Fire Protection. Bush Fire and Environmental Protection Branch. Fire and Emergency Services Authority, Western Australia. 32pp.
8. https://www.dfes.wa.gov.au/safetyinformation/fire/bushfire/BushfireProtectionPlanningPublications/Guidelines_for_Plantation_Fire_Protection_2011_final.pdf
9. Natural Resources Conservation Service (2011) Fuel and fire breaks: Small scale solutions for your farm. USDA. 3pp.
10. https://www.nrcs.usda.gov/Internet/FSE_DOCUMENTS/stelprdb1167385.pdf